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AIによる業務効率化の事例7選|中小企業の実例と自社への当てはめ方

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AIで業務を効率化したい。方針は決まっているのに、自社のどの業務を対象にするかで止まる。事例を探しても出てくるのは数千人規模の会社ばかりで、従業員数十名の自社に置き換えられない。導入を任された担当者からよく聞く状態です。

中小企業庁の2026年版中小企業白書によると、省力化投資としてAI活用に取り組んでいる事業者は全体の約3割です。そしてAIを使っていない事業者があげる理由で最も多いのは、費用でも人材でもなく、活用する業務がイメージできていないことでした。

この記事では、従業員33名から205人までの中小企業5社と、規模の大きい企業2社の事例を、公表資料をもとに整理します。それぞれ何を対象にして、何がどれだけ変わったかをまとめたうえで、公表された数値をどう読むかと、自社の候補業務を絞る視点も扱います。読み終えたときに、社内で試す作業を2件から3件挙げられる状態を目指します。

中小企業のAI活用は、文書作成と自動化から始まっている

先に全体像を押さえておくと、個別の事例が読みやすくなります。2026年版中小企業白書(2026年4月24日公表)は、省力化投資の一環として中小企業のAI活用状況をまとめています。

項目

白書で示されている内容

取組状況

省力化投資のうちAI活用に取り組んだ事業者は全体の約3割

活用する目的

業務時間の節減が8割超で最多。次いで人手不足の解消、業務の属人化解消

活用している部門

バックオフィス部門、営業や販売や顧客対応の部門

具体的な活用方法

業種を問わず、文書作成と要約と校正、業務自動化と効率化が多い

業種による違い

情報通信業ではプログラミングやコーディング支援、小売業では広告やマーケティングや販促が他業種より高い

使っていない理由

活用する業務がイメージできていない、が最多

この調査の元になっているのは、中小企業基盤整備機構が2025年11月から12月に実施した中小企業のAI等の利活用に係る実態調査です。

読み取れるのは、中小企業のAI活用が特別な技術投資として始まっているわけではない、という点です。文書を作る、要約する、転記するといった作業から入り、その先で人手不足や属人化に効かせようとしています。

もう1つ、白書には効果の出方に差がつく条件も示されています。従業員向けの研修会や勉強会に取り組んでいる事業者は、取り組んでいない事業者と比べて、想定を超える効果が得られた、想定した効果が得られたと回答した割合が高くなっています。ツールを配って終わりにするかどうかで、結果が分かれるということです。

自社がどの段階にいるかを整理してから読みたい場合は、AI導入の目的と全体像をまとめた親記事を先に確認すると、事例の位置づけがはっきりします。

あわせて読みたいAI導入とは?企業が取り組む目的・活用例・基本の進め方AI導入とは、AIと人の役割、確認方法、運用の流れまで業務へ組み込む取り組みです。企業が取り組む目的、活用例、日本企業の現在地、導入前に決めること、基本の進め方を整理し、自社が次に確認すべき内容を判断できるようにします。

従業員50名以下の企業が取り組んだAI業務効率化事例

まず、担当者が数名という規模の会社から見ていきます。この規模では、専任のIT担当を置けないまま、経営層や現場の担当者が直接AIを触っている点が共通しています。

オプトサイエンス|英語資料の読み込みと広告づくりを生成AIへ

株式会社オプトサイエンス(東京都新宿区、従業員33名)は、大学や研究所、メーカーの開発部門を顧客に、レーザー関連の光学機器を輸入販売する商社です。

同社が抱えていたのは、専門性の高さから来る負担でした。扱う製品は最先端で、個別の技術解説書やマニュアルが用意されていない場合が多く、営業担当者は関連する海外論文や英語マニュアルを探して読み込み、自分で技術解説文書を作る必要がありました。あわせて、業界専門誌へ年12回出していた広告も、作成に不慣れな営業担当者が膨大な商品群から毎号の特集に合う製品を選び、キャッチコピーを考えるため、広告枠を活かしきれていませんでした。

2023年1月に対話型生成AIを初めて使った宍野吉虎社長が、同年に導入を決めています。プロンプトの書き方について勉強会を開き、従業員が生成AIに触れる時間と環境を用意したうえで、世界中の論文を収集して要約させる、英語マニュアルを翻訳して要点を抽出させるといった使い方を営業担当者へ広げました。広告についても、商品選定とキャッチコピー、訴求ポイントを生成AIに出力させ、それを営業担当者が推敲する方法へ変えています。生成AIが示した情報は必ずファクトチェックを行う運用です。

結果として、広告のレスポンスは平均で2倍以上に増えました。以前は月平均5件程度だった広告からの問い合わせが、多い月には45件に達しています。マニュアルがない製品でも営業担当者が詳細に説明できるようになり、特に経験の少ない若手の技術知識を補う効果も出ています。

(出典:中小企業庁 2026年版中小企業白書 事例2-2-3)

ジャロック|営業報告書の作成時間を80%削減

株式会社ジャロックは、物流機器の製造、販売、施工を手がける社員数約50名の企業です。2025年10月にAI機能を含む営業支援基盤を導入し、2026年1月から段階的に機能を実装しました。

公表されている効果は、報告書作成時間の80%削減、受注率の15ポイント向上、商談化率の5%向上です。

(出典:株式会社セールスフォース・ジャパンによる2026年7月28日発表)

社員50名規模で受注率が15ポイント動くのは大きな変化ですが、これは提供元による発表であり、測定期間や比較対象の詳細までは公表されていません。数値の扱いには注意が必要です。

従業員80名から130名の企業が取り組んだAI業務効率化事例

この規模になると、部署間で情報が分断され、同じデータを何度も入力し直している状態が出てきます。2社とも、外注ではなく社内でシステムを作った点が共通しています。

岡田研磨|生成AIで管理システムを内製し、月530時間を削減

岡田研磨株式会社(石川県金沢市、従業員85名)は、建設機械や産業機械向け部品の加工と組立てを手がけています。

岡田雄太専務が入社した2020年当時、図面をはじめとする情報は紙とExcelで管理されていました。情報が属人化していただけでなく、工場担当者が作った資料を事務担当者が別の資料へ転記して集計する、資料を探し出すのに1時間から2時間かかるといった無駄が発生していました。

2023年末、岡田専務は生成AIがプログラムを作る様子を見て、非エンジニアの自分でもアプリを自作できると判断します。コスト面とデータ活用の自由度から社内アプリは自作する方針を選び、生成AIとの出会いから約2年間、合計1,000時間以上AIとの対話を重ねました。完成した統合管理システムOKADA Boardには、検査実績、品質報告、在庫管理、生産進捗といった生産管理に加え、労務管理や原価管理まで、約30種類以上のアプリが搭載されています。

導入時には従業員からの抵抗もありましたが、各部門の若手従業員でDX推進チームを結成し、まず若手が試してから全社へ広げる進め方を取りました。

効果は、月5,000枚から6,000枚分のペーパーレス化と、月530時間程度の労働時間削減です。生まれた人的リソースで受注量のキャパシティーを広げ、売上高も増加基調にあります。手順書管理システムのKnowledge Boardも独自開発しており、それまで150件程度しかなかった手順書が、導入後わずか4か月で240件ほど増えました。

費用面の効果も明確です。同様のシステム開発を外注すれば約8,000万円を要するところ、内製ならAIの月額利用料だけで済んでいます。

(出典:中小企業庁 2026年版中小企業白書 事例2-2-14)

高瀬金型|現場を知る社員が情報管理システムを構築

株式会社高瀬金型(愛知県稲沢市、従業員126名)は、金型の設計製造からプラスチック部品の成形、組立てまでを一貫して手がける企業です。10年で従業員数が約2倍に増えた一方、業務管理体制が組織の成長に追いついていませんでした。

2023年初めに業務フローに沿って社内の情報を可視化したところ、受注と在庫の情報は基幹システム、製造実績は複数のExcel、不良率のデータは紙という状態で、二重三重の入力作業が浮かび上がりました。

システム構築では、現場のオペレーションを熟知した社員を担当に据え、AIも使いながら独学で開発スキルを身につけています。午前中に出された改善要望を午後に実装するという進め方で使いやすさを追い、取組開始から2年でデータの一元管理を実現しました。不良率が高い製品が出た場合に管理者へ自動でアラートが飛ぶ設定や、受注と在庫の情報から生産指示を自動発行する機能も実装しています。

設備稼働率と納期遵守率は上昇し、不良率は大幅に低下、労働生産性も向上しました。同社はシステムの年間ランニングコストを人件費2人分相当としたうえで、仮に2人を雇ってもこの効果には及ばないと評価しています。

(出典:中小企業庁 2026年版中小企業白書 事例2-2-15)

従業員200名台の企業が取り組んだAI業務効率化事例

大津屋|レジ業務のAI化と、AIを使った新規事業

株式会社大津屋(福井県福井市、従業員205人)は、ダイニングコンビニや高速道路パーキングエリア、観光物産館を運営する小売業です。同社の事例は、効率化と新規事業の両方にAIを使っている点で参考になります。

1つ目は、2019年10月に導入したAI画像認識による量り売り会計システムです。導入前は70種類の惣菜を扱うなかで、従業員が種類と価格を覚えきれず、それが理由で退職する問題が起きていました。導入後は従業員の負担が軽くなったほか、適正な価格での販売が実現し、収益の向上にもつながっています。

2つ目は、2022年に開発し2023年9月にリリースしたふるさと納税のコンシェルジュサービスです。返礼品の提案にAIを使うもので、支援対象の自治体では寄附額が大きく伸びました。ある自治体では2022年度の4.1億円から2024年度は7億円へと、約1.7倍に増えています。

(出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21、2025年10月14日掲載)

前者は人手不足への対応、後者は売上をつくる取り組みです。同じ会社でも、AIを入れる目的が業務効率化だけとは限りません。

規模の大きい企業の事例は、到達点の参考として読む

ここまでの5社とは桁が違いますが、全社へ展開した場合にどこまで積み上がるかの目安として、2件だけ挙げておきます。

企業

対象

公表されている効果

パナソニック コネクト

全社での生成AI活用

2025年度に78.8万時間、総労働時間の3.4%を削減

UACJ

経理、人事、設備部門などの間接部門

対象業務で平均約50%の工数削減

注目したいのは、パナソニック コネクトの削減幅が総労働時間の3.4%にとどまっている点です。全社員が使って積み上げても、総労働時間に対する比率としてはこの水準になります。1つの部署で数十パーセント削減した事例と、会社全体で見た数字は別物として扱う必要があります。

7件に共通していたこと

規模も業種も違いますが、成果につながった取り組みには重なる部分があります。

経営層か現場の担当者が、自分で先に使っている

オプトサイエンスでは社長が2023年1月に自分で使い、岡田研磨では専務が1,000時間以上AIとの対話を重ね、高瀬金型では現場を熟知した社員が独学で開発しました。導入を決めた人が使い方を知らないまま部下へ展開した例は、この5社には見当たりません。

対象が業務ではなく作業で切られている

経理を効率化する、営業を効率化するという単位ではなく、英語マニュアルの要点を抽出する、紙資料を探す、製造実績をExcelへ転記するといった作業単位で切られています。白書が示す使わない理由の最多が活用する業務のイメージができていないことである以上、この切り方そのものが最初の関門です。

外注せず、社内で作っている

岡田研磨は外注なら約8,000万円かかる開発を内製で済ませ、高瀬金型も現場社員が自ら作りました。生成AIが登場したことで、非エンジニアがアプリを作る選択肢が現実的になっています。ただし、これは社内に作りたい人がいる場合の話で、誰もいない状態で内製を前提にすると止まります。

研修や勉強会をセットにしている

オプトサイエンスはプロンプトの勉強会を開き、岡田研磨は若手のDX推進チームが先に試しました。白書でも、研修会や勉強会に取り組んでいる事業者ほど効果を実感した割合が高いという結果が出ています。

事例の数値をそのまま自社に当てはめない

公表される事例は、成果が出た取り組みが中心です。うまくいかなかった検証は発表されません。実態に近い数字も見ておきます。

パーソル総合研究所が2026年2月3日に公表した調査では、生成AI利用時の所要時間は平均で16.7%、週あたり26.4分削減された一方、業務時間が減少した利用者は約25%にとどまるとされています。使っている人の4人に3人は、時間が減っていない計算です。

総務省の令和8年版情報通信白書でも、生成AIによる業務変革について組織的な取組はないと回答した日本企業の割合は27.0%で、調査対象4か国の中で最も高くなっています。米国は1.4%、ドイツは4.9%、中国は2.6%です。

つまり、個人が使うだけでは業務時間は動きにくく、作業の切り出しと運用の設計が伴って初めて数値になります。ここまでの7件が成果を出しているのも、対象作業を決め、確認の手順まで設計しているからです。

導入前に費用と効果を並べて考えたい場合は、別記事「AI導入の費用はいくら?費用の内訳・見積もり・予算の考え方」で費用が変わる条件を確認できます。

自社で効率化できる業務を見つける3つの視点

事例を読んだあとに必要なのは、自社の候補業務を絞る作業です。次の3点で見ていきます。

  1. 入力の形がある程度決まっているか
  2. 出力が合っているかを、その場で人が判断できるか
  3. その作業の手順が、担当者以外にも説明できる状態か

3つ目でつまずく企業は少なくありません。社内文書が個人のフォルダに散っている状態では、社内文書を検索して回答する仕組みを入れても期待した精度になりません。この場合は、AI導入の前にどこまで整理するかを決める判断が先に必要です。

岡田研磨が資料を探すのに1時間から2時間かかっていた状態から始めたように、探す時間が長い業務は候補になりやすい部分です。判断そのものより、判断の前後にある作業を見てください。

候補が2件から3件に絞れたら、どの順序で検証するかを決めます。準備で何をそろえ、PoCで何を確認し、どうなれば本格導入へ進むかは、導入工程を扱った記事で段階ごとに整理しています。

あわせて読みたいAI導入は何から始める?準備・PoC・本格導入までの進め方AI導入は、ツール選びではなく対象業務を1つ決めるところから始まります。準備でそろえる情報、PoCで確認する項目、本格導入で決める運用ルール、つまずきやすい進め方を整理し、社内で次に何を決めるべきか判断できるようにします。

事例は、自社の候補業務を絞る材料として使う

7件を通して見えたのは、規模が小さいほど不利ということではない、という点です。従業員33名の商社が広告の問い合わせを月5件から45件へ伸ばし、85名の製造業が外注なら8,000万円の開発を内製で済ませています。決め手になっていたのは投資額ではなく、対象作業の切り方と、決めた人が自分で使っているかどうかでした。

自社で検討するときは、公表された数値を目標に置くのではなく、自社の作業時間と件数を先に把握します。そのうえで、手順を書き出せる作業から候補に入れていくと、検証の設計まで進めます。

社内だけで決めにくいのは、候補業務の切り分けと、社内文書をどこまで整理してから始めるかの判断です。作業手順とデータの状態を見ないと、検証に向いている業務は絞り込めません。似た業務でも、判断材料がそろっているかどうかで結果が変わります。

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相談する前に、候補に挙がっている業務、その作業時間と件数、現在の判断手順、扱う情報の保管場所を整理しておくと、初回の打ち合わせで検証範囲まで具体化しやすくなります。課題の整理からの相談が可能だと案内されているため、候補業務が固まっていない段階でも持ち込めます。相談と見積もりは無料で、最短1営業日で返信すると案内されています。詳細はCREARIの問い合わせフォームから確認してください。

参考文献・出典