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AI導入とは?社員が使っても進まない理由

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社員がChatGPTを使い始めた。有料プランも契約した。それでも、会社としてAI導入が進んでいる感じがしない。

こういう状態は珍しくありません。

AIを使う人が増えただけでは、仕事の進め方までは変わらないからです。

どの仕事で使うのか。何を入力してよいのか。AIが出したものを誰が確認するのか。

会社としてこのあたりが決まって、普段の仕事の中で同じやり方が使われるようになると、個人利用から一段進みます。

この記事では、AI導入をそこから考えます。

読み終わったあと、自社でAIを試せそうな仕事を1つ挙げられるようになります。

要点

この記事の要点

  • AI導入は、AIの処理と人の確認を仕事の流れに入れること
  • 個人利用と会社導入を分けるのは、対象業務・入力範囲・確認者
  • 日本の生成AI業務利用率は86.4%。組織的な取り組みなしは27.0%
  • 候補は、繰り返し発生し、内容を読み取り、人が確認できる仕事
  • 最初は1業務を選び、確認時間・手戻り・業務への定着で続行を判断
「AI導入とは何か(製品を買うことではない)」「自社の現在地(個人利用か、会社としての導入か)」「対象となる業務(繰り返し・読み取り・確認できる人)」「開始前に決める3つ(入力範囲・確認する人・止める条件)」の4つの判断ステップを左から右へ矢印でつないだ図
AI導入を判断する4つのステップ

AI導入の範囲

AI導入は、これまで人が行っていた作業の一部をAIに処理させ、その結果を人が確認する流れを仕事の中に入れることです。

AIツールを契約した時点で、仕事が変わるわけではありません。

たとえば、営業担当者がメールの返信案をChatGPTで作っているとします。

その人だけが使い方を知っている。何を入力してよいかも本人の判断。生成された文章をどこまで確認するかも決まっていない。

これなら、便利にはなっていますが、まだその人の使い方に依存しています。

会社として使うなら、

会社としてAIを使うために決めること

確認すること

決める内容

対象業務

どの仕事でAIを使うのか

入力範囲

何を入力してよく、何を入れないのか

確認方法

AIが出した結果を誰が確認するのか

このあたりを業務の中で決めます。

担当者が変わっても同じ手順で仕事が進む。問題が起きたときも、どこで起きたのか追える。

そこまで来ると、会社としてAIを仕事に組み込んだと言いやすくなります。

人数分の有料アカウントを用意したかどうかは、あまり関係ありません。

個人利用と会社導入

個人利用から始めること自体は悪くありません。

実際、最初に触ってみるならそのほうが早いです。

ただ、そのまま使う人だけ増えていくと、少し面倒になります。

営業担当者は顧客情報を入力している。別の担当者は入力してはいけないと思っている。AIが作った文章をそのまま使う人もいれば、一文ずつ確認する人もいる。

同じ会社なのに、同じ仕事のやり方が人によって違う状態です。

ここで決めたいのが、対象業務と入力範囲、それから確認する人です。

この線があると、担当者が変わっても引き継げます。

逆にここが空白なら、ChatGPTを100人が使っていても、その100人がそれぞれ便利に使っているだけということもあります。

AIを使っている社員の人数より、「会社として使い方をどこまで決めたか」を見たほうが現在地は分かりやすいです。

日本企業の利用状況

総務省の令和8年版情報通信白書には、日本、米国、ドイツ、中国の企業を比較した生成AIの調査があります。

生成AIの業務利用と組織的な取り組みの状況

国

生成AIを業務で利用している企業

組織的な取り組みはない企業

日本

86.4%

27.0%

米国

90.9%

1.4%

ドイツ

91.6%

4.9%

中国

98.1%

2.6%

日本でも、生成AIを業務で利用している企業は86.4%まで増えています。2024年度調査の55.2%から大きく伸びました。

私がこの調査で気になるのは、86.4%より27.0%のほうです。

AIを使っている会社はかなり増えた。それでも、組織として取り組んでいない企業が日本では27.0%残っています。

「AIを知らない会社が多い」という状態では、もうなさそうです。

触っている。使っている。でも、会社の仕事としてどう扱うかまでは決め切れていない。

少なくとも、この数字からはそういう会社が一定数あるように見えます。

社内環境について尋ねた調査でも差があります。

生成AIの業務活用に向けた社内環境の整備状況

実施していること

日本

米国

ドイツ

中国

生成AIが社内データを参照できる仕組みを作る

24.5%

57.2%

54.4%

73.0%

スキルやノウハウを学ぶ環境を用意する

39.9%

62.7%

60.4%

71.7%

特に施策がない、または把握していない

19.9%

0.7%

0.7%

0.3%

同じ調査では、専門家から助言を受けられる体制がある日本企業は22.1%、分析や活用ができる形に社内データを整えている企業は26.1%でした。

ここでも私は、利用率だけを見ても実態は分かりにくいと思っています。

社員がChatGPTを開けることと、会社のデータを使って仕事を進められることには、かなり距離があります。

自社でも似た状態なら、次に探すものは新しいAIツールではありません。

AIを入れる仕事のほうです。

候補にしやすい業務

最初から全社の仕事を全部並べる必要はありません。

候補になりやすいのは、同じ種類の作業が何度も発生していて、その途中で文章や資料の内容を読む仕事です。

たとえば、

  • 会議の録音やメモから議事録の下書きを作る
  • 過去のメールを参考に返信案を作る
  • 問い合わせ内容を読んで担当部署へ振り分ける
  • 長い社内文書から必要な情報を探す
  • 見積書や請求書のたたき台を作る

こうした仕事は、AIが処理したあとに人が結果を確認できます。

ここが扱いやすいところです。

議事録なら、文字起こしと要約まではAIに任せる。

そのあと、会議に参加した人が日付や金額、決定事項を確認する。

全部をAIに任せなくても、それで十分仕事は短くなります。

Ragate株式会社が情報システム部門やDX推進室の506名を対象に行った調査では、1時間の会議に対する議事録作成時間について、AI導入前は2〜3.5時間、導入後は確認と修正を含め15〜30分という結果が報告されています。

もちろん、この時間がそのまま自社にも当てはまるわけではありません。

ただ、私がこの調査から参考にできると思うのは、削減率そのものより仕事の切り方です。

議事録を完成させる仕事を丸ごとAIへ渡したわけではない。

生成する部分と、人が確認する部分を分けています。

最初の候補を探すときも、この切り方は使えます。

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した調査では、AIを導入済みの中小企業322社のうち、総務・管理部門で利用している企業が68.3%でした。営業・販売・サービスが60.3%、経営・企画が58.5%と続きます。

私は、この数字を見て「総務からAIを入れればいい」とは考えていません。

総務や管理部門には、書類作成、情報整理、問い合わせ対応のような、先ほどの条件に当てはまる仕事が多い。

だから結果として候補が見つかりやすい、と見るほうが自然です。

自社でも部署名から探すより、普段何に時間を使っているかを書き出したほうが候補は見つかります。

AIを使わなくていい仕事

候補が見つかったら、次に「本当にAIが必要か」を見ます。

決まった欄の数字を別のシステムへ移すだけなら、AIに考えさせる理由はあまりありません。

API連携やワークフロー、RPAで終わるなら、そのほうが単純です。

ざっくり分けると、

作業の性質と向いている手段

作業

手段

決まったルールどおりに処理する

API連携、ワークフロー、RPAなど

毎回違う文章や画像の内容を読んで処理する

AI

となります。

もちろん、実際の仕事では両方が混ざります。

問い合わせ対応なら、問い合わせ文を読んで内容を分類するところはAI。

分類結果をCRMへ登録して担当者へ通知する部分は、通常のシステム連携で処理できます。

CREARIがこれまで支援した案件でも、この組み合わせはあります。

会議の録画や文字起こしから議事録とタスクを生成し、その結果をチャットや管理ツールへ登録する仕組み。

問い合わせから架電ログまでをまとめ、過去の情報を使って返信案を作る仕組み。

各媒体から取得したデータを定例レポートへ整形する仕組みなどです。

CREARIへの相談では、対象業務がまだ決まっていない状態から始まる案件も半数以上あります。

AIを使う前提で仕事を見ると、本来AIがいらない場所までAI化しやすくなります。

CREARIでは候補業務を確認したあと、通常の自動化で済む部分とAIを使う部分を分けています。

組み込み方

AIを使う部分が見えたら、そのあとでツールを考えます。

AIの組み込み方

方法

向いている状態

既製のAIツール

ツール単体で仕事が終わる

既存システムとの連携

AIの結果を別のシステムでも使う

自社向けの開発

自社固有のデータや業務手順を扱う

ChatGPTや既製サービスだけで足りるなら、それで構いません。

社内のデータを検索したい。

今使っている基幹システムへ結果を戻したい。

自社独自の判断手順を入れたい。

こうした条件が出てきたところで、連携や個別開発の話になります。

この順番なら、「何を作るか」がある程度決まった状態で見積もりを取れます。

AI開発会社を先に10社並べるより、比較もしやすくなります。

始める前の線引き

候補業務が決まったら、実際に使い始める前に線を引きます。

小さく試すだけなら、細かい規程を最初から何十ページも作る必要はありません。

ただ、何を入れてよいか、誰が確認するか、どこを人が決めるか。

ここだけは曖昧なまま人数を増やさないほうがいいです。

入力してよい情報

「機密情報は入力しない」

これだけでは、実際に使う人は困ります。

顧客名は機密なのか。

公開済みの商品情報はどうか。

会社名を消した問い合わせ文なら入れていいのか。

未公開の売上数字はどうか。

利用する人が毎回考えるルールは、まあまあ使いにくいです。

たとえば、

顧客名は不可。

社名を削除した問い合わせ文なら可。

公開済みの商品情報は可。

未公開の契約条件は不可。

このくらいまで具体的にしたほうが現場では判断できます。

実際には、使うAIサービスの規約や会社側のセキュリティ基準も見ながら決めます。

結果を確認する人

AIが作った文章は自然でも、数字や日付、社名を間違えることがあります。

それを見つけられる人を業務の中に残します。

議事録なら会議に参加した人。

問い合わせの分類なら、普段その問い合わせを処理している担当者です。

特に金額、日付、社名、契約条件のような事実は、そのまま次へ流さないほうが扱いやすいです。

AIの回答を100%正しくすることだけを目指すと、いつまでも本番に入れません。

間違ったときに誰が止めるのか。

こちらを決めておくほうが、実際の仕事には入れやすくなります。

人が決めるところ

採用の合否、取引先の与信、契約条件、価格の決定。

会社として責任を負う判断は、人が確認して決める手順を残します。

だからといって、その仕事ではAIを一切使えないわけではありません。

与信なら、取引履歴を整理する。

確認すべき情報をまとめる。

過去の資料から必要な部分を探す。

ここまではAIに任せられるかもしれません。

その材料を見て最終的に判断するところは人が持つ。

仕事をこの単位まで細かくすると、「AIに任せるか、人に任せるか」という大きすぎる話をしなくて済みます。

業務手順

総務省の令和8年版情報通信白書には、アイニコグループのAI活用事例も掲載されています。

同社では経営者主導のプロジェクトを立ち上げ、専門企業から支援を受けながら各事業部門の課題を整理し、1年間の検討で全10事業部合計年間2,247時間分の業務時間を削減したと報告されています。(株式会社CREARI(クレアリ))

2,247時間は目を引く数字です。

ただ、私がこの事例で先に見るのは別の部分です。

「報告された結果(全10事業部合計で年間2,247時間の業務時間削減)」を淡い青のカードで控えめに、「成立していた条件(AI導入以前から、業務フローやチェックシートの整備に取り組む習慣が根付いていた)」を白いカードで主役として左右に並べ、矢印で結んだ図
事例で注目すべきは、結果ではなく成立していた条件

同社にはAI導入以前から、業務フローやチェックシートを整備する習慣があったとされています。

つまり、AIを入れる前に「今の仕事がどう進んでいるか」がある程度見えていました。

これはかなり大きいです。

AIにどこまで任せるかを決めるには、そもそも今どこで人が作業し、どこで判断しているのかが分からないと線を引けません。

自社で候補業務を見つけたら、現在の流れを書いてみてください。

誰が受け取るのか。

何を見るのか。

何を作るのか。

最後に誰へ渡すのか。

きれいな業務フロー図でなくても構いません。

紙に順番を書くだけでも、AIを入れられそうな場所は見えやすくなります。

最初の1業務

最初から全社導入の計画を作らなくても始められます。

1つ選んで試す。

そのくらいで十分です。

試す前に決めるのは、対象業務、利用する人、試す期間、続けるかどうかを見る基準です。

見るときはAIの精度だけで判断しません。

AIが作ったものを人が確認する時間まで含めて、仕事が短くなったか。

手戻りが増えていないか。

普段の仕事の流れに入れられたか。

ここを見ます。

精度が高くても、確認に以前と同じ時間がかかるなら、業務改善としては微妙です。

逆に少し修正は必要でも、1時間かかっていた仕事が20分になり、担当者も無理なく使えるなら続ける理由があります。

この段階まで来てから、費用やツール、開発会社を調べても遅くありません。

むしろ条件が決まっている分、見積もりを比べやすくなります。

「問い合わせ対応をAI化したい」だけでは各社が違うものを見積もります。

「問い合わせ文を分類して、過去の回答を探し、返信案を作るところまで。最後は担当者が確認する」

ここまで言えれば、同じ範囲で比較できます。

AI導入についてよくある質問

Q

社内にAIに詳しい人がいなくても始められますか?

A

既製のAIツールを小さく試す段階なら、AI開発の知識がなくても始められる場合があります。必要なのは、その仕事を普段どう進めているか説明できる人と、AIが出した結果を確認できる人です。既存システムとの連携や自社向けの開発が必要になった段階で、社内の技術担当者や外部の支援会社を入れる方法もあります。

Q

費用はどのくらいかかりますか?

A

既製ツールをそのまま使うのか、現在のシステムと連携するのか、自社向けに開発するのかで変わります。そのため、金額だけを先に調べてもかなり幅が出ます。対象業務とAIに任せる範囲を先に決めておくと、見積もりの条件をそろえやすくなります。

Q

補助金は使えますか?

A

中小企業向けには、中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金があります。公募条件や申請時期は年度によって変わるため、利用する場合はその年度の公式情報を確認してください。

候補業務を決めきれないとき

ここまで読んで、「問い合わせ対応なら試せそう」「議事録ならできそう」と思い浮かんだなら、まずその仕事の流れを書いてみてください。

そのまま社内で試しても構いません。

難しいのは、候補がいくつもある場合です。

問い合わせ対応も時間がかかっている。

営業資料も作るのが大変。

議事録もある。

社内検索にも時間がかかる。

全部それっぽく見えて、どれから始めるか決められない。

CREARIへの相談でも、対象業務をまだ決めていない段階から始まる案件は半数以上あります。

この状態なら、いきなり開発するものを決める必要はありません。

CREARIでは普段の業務を確認しながら、

これは既製ツールで足りる。

ここは通常の自動化で済む。

この部分だけAIを使うと時間を減らせそう。

今は触らないほうがいい。

というところから切り分けます。

年間40社以上のAI導入を支援しており、中小企業から上場企業を含む中堅企業まで対応しています。

代表の祖父江は、ストックマークとプレイドで新規事業のシステム開発責任者を歴任し、独立後はプライム上場企業を含む80社以上のAI導入や業務システム開発に携わってきました。

CREARIでは、話を聞いた結果、AIを使わないほうがいいと判断した場合もそのままお伝えしています。

候補業務が決まっていなくても問題ありません。

どの仕事から試すか。

その仕事のどこまでをAIに任せるか。

通常の自動化で済むところはどこか。

その整理からご相談いただけます。

AI導入について無料で相談する

ご相談とお見積もりは無料です。候補業務の絞り込みから、AIを使う部分と通常の自動化で足りる部分の切り分け、実際に導入する場合の進め方まで整理します。

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参考にした情報

総務省「令和8年版情報通信白書」中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」Ragate株式会社「1会議あたり約2時間の工数削減が可能に〜AI議事録・要約ツールの実態と導入ガイドを公開〜」