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AI活用事例|企業の使い方・自社に当てはめる方法

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AIの活用事例を調べると、議事録の作成、社内資料の検索、営業資料づくり、プログラミングなど、さまざまな使い方が見つかります。

事例を知るだけなら、それほど難しくありません。実際に迷いやすいのは、そのあとです。

「他社が使っていることは分かったが、自社なら何に使えばよいのか」

ここが決まらないまま事例を増やしても、AIを試す仕事までは絞れません。

事例を見るときは、自社と同じ業種の会社を探すだけではなく、その会社が今まで人に任せていたどの作業をAIへ渡したのかまで確認することが大切です。

この記事では、企業で実際に使われているAIの活用例を業務ごとに見ながら、自社で試す候補を絞る方法を説明します。

要点

この記事の要点

  • AI活用事例は、会社名より「どの仕事をAIへ渡したか」
  • 活用先は文章作成だけでなく、社内検索、会議、営業、開発、人事・総務まで
  • 同じ業種の事例がなくても、作業の流れが近ければ参考になる
  • 最初の候補は、繰り返し発生し、元になる情報があり、人が結果を確認できる仕事から探す
  • 手順と答えが決まっている仕事では、AIより通常の自動化が合う

「同じ会社」より「同じ仕事」を探す

製造業なら製造業、建設会社なら建設会社の事例を探したくなります。

もちろん、同業他社の事例は参考になります。ただし、業種だけに絞ると、自社でも使える事例を取りこぼすことがあります。

たとえば、会議後に議事録をまとめる仕事は、多くの業種にあります。社内規程を探して社員からの質問に答える仕事も、営業会社だから、製造会社だからと大きく変わるものではありません。

AIが処理しているのは業種そのものではなく、情報を探す、文章を読む、要約する、案を作る、分類するといった作業です。

事例を見るときは、次の3つに分けると自社との共通点を探しやすくなります。

事例を見るときに確認する3つのこと

確認すること

見る内容

AIへ渡している作業

検索、要約、作成、分類、予測など何を任せているか

AIが使う情報

文書、会議内容、顧客情報、社内規程など何を材料にしているか

人に残している仕事

確認、修正、承認、最終判断のどこを人が担当しているか

同じシステムをそのまま持ってくる必要はありません。自社にも似た作業があるかを探すために事例を使います。

企業ではAIをどの仕事に使っているのか

実際の企業事例を見ると、AIの使い方にはいくつか共通した型があります。

ここでは会社の導入プロジェクトを詳しく追うのではなく、何をAIへ渡したのかに絞って見ていきます。

SMBCグループ、LINEヤフー、総合商研がAIを使っている業務領域を一覧にした図
各社が公開しているAI活用事例(業務領域別)

社内の情報を探す|SMBCグループ

SMBCグループでは、従業員向けAIアシスタント「SMBC-GAI」を業務で利用しています。

専門用語の検索、メール文面の下地づくり、文章の要約、翻訳、ソースコードの生成などに使われてきました。その後、RAGを活用し、規程や通達、業務マニュアルなど約130万件の社内文書を横断して検索できる機能も追加されています。

ここで参考にしたいのは、130万件という規模ではありません。

「必要な情報が社内にあるのに、探すことへ時間を使っている」という仕事をAIへ渡していることです。

自社でも、次のような場面が続いているなら近い候補になります。

「この申請はどう処理するのか」と毎回担当部署へ聞いている。過去案件の資料を共有フォルダから何度も探している。担当者しか資料の場所を知らない。

こうした仕事では、文章を生成することより、必要な情報へ早くたどり着けるようにする使い方が合うことがあります。

調査・資料作成・会議|LINEヤフー

LINEヤフーでは、調査・検索、資料作成、会議など、社員が共通して行う業務にも生成AIを使っています。

調査ではAIを検索の入口にし、資料を作る前にはアウトラインをAIで作成します。会議では事前の議題整理や議事録の作成にもAIを使うルールが公開されています。

特別なシステム開発から始めなくても、こうした作業はあります。

企画書を毎回白紙から作る、競合を調べて複数のページから情報をまとめる、会議後に録音を聞き返して議事録を作る。こうした仕事が繰り返されているなら、今使えるAIで一部分だけ試す方法があります。

ここでは、完成品までAIへ任せる必要はありません。

AIに最初の案を作らせ、人が確認して完成させるだけでも、仕事の進め方は変わります。

ソフトウェア開発|LINEヤフー

AIが文章ではなく、コードを書く場面もあります。

LINEヤフーは約550名のエンジニアを対象にGitHub Copilot for Businessをテスト導入し、その結果を受けて約7,000名のエンジニアへ対象を広げています。テストでの削減時間は次のとおりです。

1人あたり1日約1〜2時間

GitHub Copilot for Businessのテスト導入で削減されたコーディング時間

約550名でテスト導入し、その後約7,000名のエンジニアへ対象を拡大

出典: LINEヤフー株式会社「GitHub Copilot for Business」に関する公開情報

この事例から持ち帰りたいのは、「AIならプログラミングもできる」という話だけではありません。

AIがコード案を作っても、どの機能を作るかは人が決めます。生成されたコードの確認やレビューも残ります。

つまり、AIに作業の一部を任せながら、最終的な品質判断は人が持つ使い方です。

これは開発以外にも当てはまります。営業メール、企画案、社内文書など、最初の案を作る負担が大きく、完成前に人が確認できる仕事は同じ考え方で探せます。

人事・総務|LINEヤフー

人事や総務でもAIの利用が広がっています。

LINEヤフーは、人材育成、労務管理、採用支援、社内申請・問い合わせ対応などへ生成AIを利用する取り組みを公表しています。2026年春までに新たに10件のAI活用ツールを順次運用する計画です。

月間約1,600時間以上

人事総務部門全体で見込まれている工数削減

見込み値であり、実績値ではない

出典: LINEヤフー株式会社「人事総務領域での生成AI活用」に関する公開情報

人事や総務には、文章を作る仕事だけでなく、ルールを調べる、申請内容を整理する、問い合わせ内容を確認するといった仕事があります。

最終的な人事判断をAIへ任せるのではなく、その前に必要な情報をまとめてもらう。質問への回答案を作ってもらう。大量の自由記述を分類してもらう。

こうして作業を細かく分けると、AIへ任せられる範囲を探しやすくなります。

営業・制作|総合商研

販促支援を行う総合商研では、生成AIを営業や制作などの業務で利用しています。

公式の導入事例では、企画や提案資料の壁打ち、情報収集、コピー作成、動画制作の補助などで生成AIを使っていることが確認できます。

営業部門でAIを検討するときに、「営業をAI化する」と考えると範囲が広すぎます。

提案前の情報収集なのか、商談後の報告書なのか、メールの下書きなのか。1つの作業まで分ければ、自社でも試せるかどうかを判断しやすくなります。

業種が違っても参考にできるAI活用事例はある

ここまでの会社は、金融、IT、販促支援と業種が異なります。

それでも、AIへ渡している仕事には共通するものがあります。

AIの使い方と自社で探す仕事

AIの使い方

自社で探す仕事

情報を探す

社内規程、過去案件、商品資料などを何度も検索している

情報を短くする

会議、マニュアル、調査資料などを人が要約している

最初の案を作る

メール、資料、企画、文章を毎回白紙から作っている

分類する

問い合わせ、申請、アンケートなどを人が振り分けている

作業を補助する

コードや制作物など、人が確認する前提で案を作っている

質問に答える

同じ質問へ担当部署が繰り返し回答している

同じ業種の事例が見つからなくても、似た仕事が社内にあれば検討材料になります。

反対に、同業他社が導入しているからといって、自社でも優先する必要はありません。その仕事が自社ではほとんど発生していないなら、別の作業から探したほうが合っています。

自社で試すAI活用を3つの条件から絞る

事例を見たあとに必要なのは、さらに事例を探すことではありません。

自社の仕事へ戻ります。

最初の候補を探すなら、次の3つを確認してください。

自社で試すAI活用を絞り込む3つの条件(繰り返し発生しているか、材料を用意できるか、結果を確認できる人がいるか)を示すフロー図
候補業務を絞る3つの確認事項

同じ作業が繰り返し発生しているか

年に数回しかない作業より、毎日、毎週繰り返している仕事のほうが、改善したときの影響を確認しやすくなります。

「営業」のような部署名ではなく、「商談後に営業報告書を作る」「過去の提案書から参考資料を探す」のように、作業として名前を付けます。

ここまで細かくすると、件数や時間も確認できます。

AIが使う材料を用意できるか

AIへ何かを任せるには、元になる情報が必要です。

議事録なら会議内容、提案書なら商品情報や顧客情報、社内検索なら規程やマニュアルが材料になります。

必要な情報が担当者の頭の中だけにあり、資料にもデータにも残っていない場合は、AIを入れる前に情報を残す方法から考えたほうがよいこともあります。

AIの結果を人が確認できるか

最初に試す仕事では、AIが出した結果を人が確認できることが大切です。

営業メールなら担当営業、議事録なら会議参加者、社内規程への回答なら管理部門というように、間違いに気づける人を決めます。

正しいかどうかを誰も判断できない仕事をAIへ渡しても、結果を使ってよいか判断できません。

AIにどこまで任せるかだけではなく、そのあとを誰が持つのかまで決めておきましょう。

AIではなく通常の自動化が合う仕事もある

候補が見つかっても、すぐにAIを使うとは決めません。

たとえば、毎日決まったファイルから同じ列の数字を取り出し、決まったシステムへ入力する仕事を考えてみます。

入力場所も手順も答えも固定されているなら、RPAやスクリプトなど通常の自動化で処理できる可能性があります。そこでAIを加えると、出力の揺れや確認作業を増やしてしまう場合があります。

一方、問い合わせ内容が毎回違う、読む文章が違う、材料から新しい文章を作るといった仕事では、固定ルールだけでは処理しにくくなります。

AIでできるかではなく、AIを使う理由があるかで分けると判断しやすくなります。

実際に企業がどの用途にAIを使っているか、業種を超えた偏りを知っておくと、自社の候補を判断しやすくなります。

ビジネスのAI活用|用途の偏りと、選ぶ領域の決め方ビジネスのAI活用として挙げられる使い道は幅広い一方、企業が実際に挙げているのは文書の要約や作成に集まっています。IPAの調査から使い道ごとの割合と効果の偏りを示し、来期の方針に載せる領域を1つ選ぶまでを説明します。AI導入記事を読む

最初に試す候補業務を1〜3件まで絞る

ここまで確認したら、自社で繰り返している仕事を書き出します。

全部署を網羅する必要はありません。自分が状況を確認できる部門から始めれば十分です。

候補業務を書き出すときの確認項目

確認すること

記入例

作業名

商談後の営業報告書作成

発生件数

1週間に何件あるか

1件にかかる時間

現在の作業時間

AIへ渡す部分

商談メモから報告書の下書きを作る

元になる情報

商談メモ、顧客情報、報告書のフォーマット

結果を確認する人

担当営業または営業責任者

候補が10件出たとしても、最初から全部を試す必要はありません。

件数が多く、ある程度時間がかかり、元になる情報があり、人が結果を確認できるものから1〜3件まで絞ります。

この段階では、どのAI製品を契約するかまで決めなくても構いません。

先に仕事を決めておくと、既存のAIツールで足りるのか、通常の自動化が合うのか、社内データとの連携や個別開発まで必要なのかを考えやすくなります。

候補業務が決まったら導入条件を確認する

候補が決まったところで、事例探しはいったん終わりです。

次は、その仕事でAIをどう使うのかを決めます。

対象業務に対して、入力してよい情報、人が確認する範囲、試した結果を何で評価するかを確認します。既存ツールだけでは足りない場合は、社内システムとの連携や個別開発も検討対象になります。

費用について確認したい場合は、対象業務、利用人数、扱う資料、接続するシステムまで分かると、自社で必要になる費用を考えやすくなります。

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自社で候補を並べても、AIで解くべき仕事と通常の自動化で足りる仕事を分けきれない場合は、その段階から相談する方法もあります。

候補業務を切り分けられないときは

現状分析から戦略立案、PoC、運用定着までAI導入を支援しています。具体的なプロジェクトがまだ決まっていない場合でも、課題整理からご相談いただけます。

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まとめ|AI活用事例から持ち帰るのは候補業務

AI活用事例を見る目的は、他社と同じAIを導入することではありません。

他社がどの作業をAIへ渡し、どこに人の確認を残しているのかを見ることで、自社でも試せそうな仕事を探せます。

社内情報を探す。長い資料をまとめる。文章の最初の案を作る。問い合わせを分類する。こうして作業まで細かくすると、業種が違う企業の事例でも参考にできます。

事例を一通り見たら、自社で次の3つを確認してください。

事例を一通り見たら確認する3つのこと

  • 繰り返し発生しているか
  • AIへ渡す材料があるか
  • 結果を確認できる人がいるか

条件に合う仕事を1〜3件まで絞れたら、事例を増やす段階から、実際に試す方法を決める段階へ進めます。

そこで初めて、既存ツールで始めるのか、通常の自動化を使うのか、システム連携や個別開発まで行うのかを比較すれば十分です。

参考にした情報

  • 三井住友フィナンシャルグループ「SMBC-GAI」に関する公開情報
  • LINEヤフー株式会社「生成AI社内活用ルール」「GitHub Copilot for Business」「人事総務領域での生成AI活用」に関する公開情報
  • ソフトバンク株式会社 法人向け導入事例
  • 株式会社CREARI「AI導入支援」「お問い合わせ」