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生成AIの活用方法|企業での使い道と業務の選び方

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会社で生成AIを使おうと考えたとき、最初に困るのはツールの選び方よりも、「結局、どの仕事に使えばいいのか」という部分です。

文章作成、議事録、データ分析、問い合わせ対応など、生成AIの活用例はいくらでも見つかります。ただ、用途を並べただけでは、自社で何から始めればよいかまでは決まりません。

中小企業庁の調査でも、多くの事業者が同じ課題を抱えていることが分かっています。

63.4%

中小企業庁「2026年版中小企業白書」で、2019年以降の省力化投資でAI活用に取り組んでいない事業者に理由を尋ねたところ、「活用する業務がイメージできていない」と回答した割合(回答企業数3,888社)

この調査は生成AIだけでなく、AI活用全般について聞いたもの

出典: 中小企業庁「2026年版中小企業白書」

生成AIを仕事で使えるか考えるときは、「生成AIで何ができるか」から探すより、今ある仕事のどの作業を任せられるかから見たほうが候補を絞りやすくなります。

この記事では、生成AIを活用しやすい仕事を6つの型に分けたうえで、部署ごとの使い方、最初に試す業務の選び方まで整を解説します。読み終わったときには、自社で生成AIを試す候補業務がイメージできるようになります。

要点

この記事で分かること

  • 生成AIを活用しやすい仕事の6つの型
  • 部署ごとに活用を考えやすい作業の違い
  • 最初に試す仕事を絞る4つの条件
  • 生成AIの活用を広げる3段階の考え方
  • 業務で使う前に最低限決めておきたいこと

「何ができるか」より「どの作業を任せるか」

「営業で生成AIを使いたい」「人事部でも活用したい」と部署単位で考えると、範囲が広すぎて具体的な使い方が決まりにくくなります。

営業の仕事だけを見ても、商談前の情報収集、メール作成、提案資料の作成、商談記録の整理、案件の引き継ぎなど、性質の違う作業が含まれています。生成AIが入りやすいのは、この中の一部です。

そこで、部署名ではなく作業の中身まで分けて考えます。

たとえば「商談対応をAI化する」ではなく、「商談メモから議事録の下書きを作る」「顧客情報をもとにフォローアップメールの案を作る」と切り出すと、生成AIに任せる範囲が見えやすくなります。

反対に、入力された数字を決められた計算式で処理する、特定条件に一致したデータを別システムへ移すといった作業では、生成AIを使わず通常の自動化で済む場合があります。

生成AIを使うこと自体を目的にせず、作業の性質から手段を選んでください。

生成AIを検討しやすい作業の状態

作業の状態

生成AIを検討しやすいか

考え方

毎回扱う文章や情報が変わる

検討しやすい

内容を読んで要約・分類・作成する処理と相性がよい

出力にある程度の幅が許される

検討しやすい

下書きを作り、人が確認する使い方にしやすい

判断材料の整理に時間がかかる

検討しやすい

情報整理や比較の補助として使える

条件と処理方法が完全に決まっている

他の自動化も検討

ルールベースの処理で十分な場合がある

一度の誤りでも大きな影響が出る

慎重に検討

人による確認や利用範囲の設計が欠かせない

ここで見たいのは、部署全体をAIに置き換えられるかではありません。一つの仕事の中に、生成AIへ渡せる作業があるかです。

生成AIを活用しやすい6つの仕事の型

生成AIの使い道は、ツール名ではなく作業の型で整理すると、自社の業務にも当てはめやすくなります。

代表的なものを6つに分けると、次のようになります。

生成AIを活用しやすい6つの仕事の型

仕事の型

活用例

情報を要約・整理する

会議内容の整理、長い資料の要約、複数資料から論点を抜き出す

文書や資料のたたき台を作る

メール、報告書、提案資料、社内文書の初稿作成

内容を書き換え・展開する

文章の短縮、言い換え、翻訳、用途別の書き分け

企画や考えを整理する

アイデア出し、論点整理、比較項目の洗い出し

データ分析やレポート作成を補助する

データの読み取り、傾向の整理、レポート文の作成

問い合わせや社内ナレッジへの回答を補助する

回答案の作成、社内資料をもとにした情報検索

パーソル総合研究所の「生成AIとはたらき方に関する実態調査」では、生成AIを使っているタスクの所要時間が平均16.7%短くなっていました。用途別では「企画・相談・思考整理」が週36.9分、「文書・資料作成/編集」が週35.1分、「データ分析/レポーティング」が週33.6分短縮されています。調査は全国の就業者19,855名へのスクリーニング調査と、正規雇用者3,000名を対象とした本調査で行われています。

もちろん、自社でも同じだけ時間が減るとは限りません。どこに使う候補があるかを考える材料として見るのがよいでしょう。

情報を要約・整理する

会議の記録、長い報告書、調査資料などを読んで内容をまとめる作業は、生成AIを使いやすい領域の一つです。

たとえば、1時間の会議を録音・文字起こししたあと、担当者が全文を読み直して議事録を作っているなら、その途中に生成AIを入れられます。

生成AIに任せるのは、決定事項、未決事項、担当者、次に行う作業などの抽出です。

資料の要約でも同じです。「この資料を要約する」と広く頼むより、「経営判断に関係する数字だけ抜き出す」「変更された条件だけ整理する」など、必要な情報を決めておくと実務で使いやすくなります。

文書や資料のたたき台を作る

ゼロから文章を書く時間が長い仕事では、生成AIに初稿を作らせる方法があります。

営業メール、社内報告書、提案資料の構成、求人票、マニュアルなどが候補です。

ここで任せるのは完成品ではなく、たたき台までと考えると扱いやすくなります。たとえば営業担当者であれば、顧客との商談メモと次回提案したい内容を渡し、フォローアップメールの下書きを作ってもらいます。

担当者は事実関係や表現を確認してから送るため、何もない状態から書き始める作業を減らすことができます。

すでに社内で何度も作っている文書なら、過去の良い例やフォーマットを用意すると、どこまで生成AIへ任せたいのかも決めやすくなります。

内容を書き換え・展開する

すでにある情報を別の用途へ変える仕事も候補になります。

長い説明文を短くする、専門的な内容を社内向けに言い換える、日本語を別の言語へ翻訳する、一つの原稿から複数媒体向けの文章案を作る、といった使い方です。

広報担当者が一つのプレスリリースからSNS投稿案や社内向け案内文を作るような場面では、元になる文章がすでにあるため、生成AIに渡す材料を用意しやすくなります。

企画や考えを整理する

生成AIは「正解を答えてもらう」だけでなく、自分の考えを整理する相手として使うこともできます。

新しい施策を考えているときに、検討項目を洗い出す、複数案のメリットと懸念を並べる、会議前に反対意見を出してもらうといった使い方です。

たとえば、新しい営業施策について社内会議を行う前に、現在の課題、対象顧客、予算などを入力し、「会議で確認すべき論点を挙げて」と依頼します。出てきた内容をそのまま採用するのではなく、抜けていた観点を探す材料として使います。

企画そのものをAIに決めてもらうのではなく、人が判断する前の材料を増やす使い方と考えると分かりやすくなります。

データ分析やレポート作成を補助する

表計算データや集計結果を見ながら、傾向を探したりレポート文を作ったりする作業にも生成AIを使えます。

たとえば、月次の売上データを集計したあと、「前月から大きく変わった項目を整理する」「報告書に載せる論点の候補を出す」といった使い方です。

ここでも、数値そのものの正しさを生成AIへ任せきるのは避けたほうが安全です。集計結果は元データや表計算ソフト側で確認し、生成AIにはその結果の読み取りや文章化を補助してもらうほうが役割を分けやすくなります。

問い合わせや社内ナレッジへの回答を補助する

問い合わせ対応では、担当者が毎回資料を探し、似た回答を書き直していることがあります。

こうした仕事では、質問内容をもとに回答案を作る、必要な社内資料を探す、回答に使う情報を整理するといった部分に生成AIを使えます。

総務部門で「この申請はどう進めればよいか」という質問が繰り返し届いているなら、社内規程やマニュアルから関連情報を探し、回答候補を出す使い方が考えられます。

社内データを生成AIと組み合わせる場合は、単にチャットツールを使う段階より準備が増えます。どの情報を参照させるか、更新された文書をどう反映するか、回答の根拠をどう確認するかまで決める必要があるためです。

部署ごとに見ると、生成AIを使える仕事はどう変わるか

同じ生成AIでも、部署によって任せたい作業は変わります。

自社で候補を探すときは、次の表から近いものを探し、その仕事をさらに一つの作業へ分けてみてください。

部署別に活用を考えやすい作業

部署

活用を考えやすい作業

営業

商談記録の整理、メールの下書き、提案資料の構成作成、顧客情報の整理

マーケティング

調査情報の整理、企画案の洗い出し、原稿のたたき台作成、レポート文章の作成

人事・採用

求人票の下書き、面談記録の整理、研修資料の作成、社内案内文の作成

総務・管理

社内文書の要約、問い合わせ回答の補助、マニュアル作成、規程の検索補助

カスタマーサポート

問い合わせ内容の分類、回答案の作成、対応履歴の要約、FAQ作成

情報システム・開発

技術情報の調査、ドキュメント作成、コード作成の補助、問い合わせ内容の整理

この表から「営業で使う」と決めるだけでは、まだ範囲が広すぎます。

たとえば営業なら、「提案資料作成」よりも「過去の商談メモから、次回提案資料の構成案を作る」ところまで分けてください。ここまで具体化すると、何を入力するのか、何が出れば使えるのか、人がどこを確認するのかを決めやすくなります。

企業事例を見て、自社に近い業種を探す方法もあります。ただ、他社と同じ部署だから同じ使い方が合うとは限りません。業種別の具体的な事例は、後述する記事で詳しく扱っています。

最初に試す仕事は4つの条件で絞る

候補が5個、10個と出てきたら、全部を同時に試す必要はありません。

最初の1件は、次の4つで比べると絞りやすくなります。

最初に試す仕事を絞る4つの条件

条件

確認する内容

繰り返し発生している

毎週、毎月など、同じ種類の作業が繰り返されているか

入力に使う材料がある

元になる文章、資料、データ、記録を用意できるか

人が結果を確認できる

正しいかどうかを判断できる担当者がいるか

間違えたときの影響を抑えられる

小さい範囲で試し、問題があれば元の手順へ戻せるか

たとえば候補として、「営業会議の議事録作成」「顧客への見積書作成」「経営会議で使う売上予測」が挙がったとします。

最初に試すなら、議事録作成のほうが切り出しやすい場合があります。元になる会議記録があり、人が内容を確認でき、AIの出力に問題があっても修正してから共有できるためです。

見積金額や売上予測のように、間違いがそのまま金額や経営判断へ影響する仕事は、確認方法まで設計してから扱ったほうが安全です。

もう一つ見ておきたいのが、「本当に生成AIが必要か」です。

毎回同じ条件で処理できる仕事なら、既存システムの設定変更やRPAなど、別の自動化で十分な場合があります。候補を選ぶ段階では、生成AIで実現できるかだけではなく、生成AIを使う理由があるかまで考えてください。

4条件を満たす業務が複数あるなら、現在かかっている手間や発生頻度を比べ、試した結果を確認しやすいものから選ぶと進めやすくなります。

生成AIの活用は3段階で広げる

生成AIの活用は、最初から社内システムとの連携まで考えなくても構いません。

大きく分けると、次の3段階があります。

生成AI活用の3段階

段階

使い方

1. 個人の作業を補助する

担当者が生成AIを使い、自分の作業を補助する

メール下書き、要約、アイデア整理

2. 部署内で使い方をそろえる

対象業務や入力方法、確認方法を共通化する

議事録作成、レポート作成、問い合わせ回答

3. 社内データやシステムと組み合わせる

社内情報を参照したり、既存業務へ組み込んだりする

社内ナレッジ検索、システム連携、自動回答

まだ生成AIをほとんど使っていない会社であれば、1段階目から試せます。

すでに社員が個別にChatGPTなどを使っているなら、「使うかどうか」より、2段階目としてどの仕事で利用をそろえるかを考えたほうがよい場合があります。

3段階目では、扱うデータや既存システムとの接続が関係するため、ツールを触るだけでは決まりません。どの情報を利用するか、誰が管理するか、どこまで自動化するかといった設計が必要になってきます。

この記事で決めるのは、どの段階から始めるかまでです。PoCや本格導入を含む具体的な進め方は、後述する記事で扱っています。

生成AIを業務で使う前に最低限決めておきたいこと

候補業務を1つ選んだら、そのまま社員へ「自由に使ってよい」と伝えるのではなく、最低限の線を決めます。

最初から何十ページものガイドラインを作る必要はありません。少なくとも、次の3つは業務ごとに決めてください。

入力してよい情報を決める

顧客情報、個人情報、契約内容、社内だけで扱う資料などを、どこまで生成AIへ入力してよいのかを決めます。

利用するサービスや契約内容によってデータの扱いは変わるため、「生成AIだから全部禁止」「便利だから何でも入力してよい」のどちらにも寄せないほうが運用しやすくなります。

使う製品が決まった段階で、その製品のデータ利用条件や管理機能を公式情報で確かめたうえで、自社のルールへ落とし込んでください。

出力を誰が確認するか決める

生成AIの出力には誤った内容が含まれることがあります。

どこまで人が確認するかを決めずに使い始めると、社員ごとに扱いが変わります。メールの下書きなら送信者が確認する、社内資料なら作成担当者が元資料と照らすなど、対象業務ごとに確認する人を決めておくと運用しやすくなります。

どの業務まで使ってよいか決める

同じ部署でも、生成AIを使いやすい仕事と慎重に扱う仕事があります。

「営業部は利用可」と部署単位で許可するより、「商談メモの要約とメールの下書きに利用する」と業務まで決めたほうが、社員も判断に迷いにくくなります。

経済産業省が公開している「AI事業者ガイドライン」は2026年3月31日に第1.2版へ更新されており、AIを利用する側を含め、プライバシー保護やセキュリティ確保などを考えるための資料やチェックリストが公開されています。自社で利用ルールを作る際は、こうした一次情報も確認してください。

細かな導入ルールや運用体制までここで決める必要はありません。この記事の段階では、何を入れるか、誰が見るか、何に使うかの3つが決まっていれば、次の検討へ進みやすくなります。

候補業務が決まった後に読む記事

生成AIの活用候補を1つ選べたら、次に知りたい内容によって読む記事を分けてください。

実際に社内へ導入する順番を決めたい場合\対象作業、合格ライン、利用ルールなど、導入前に社内で決める内容は、こちらで整理しています。

生成AI導入の進め方|社内で最初に決める3つのこと生成AIを社内導入する際に決めるべき「対象業務」「入力してよい情報」「合格ライン」の3点を、決裁者の視点で整理。手順どおり進めても止まる理由と、広げる・やめるの判断時点まで解説します。AI導入記事を読む

生成AIを使うことで、どれくらい仕事が速くなるのか考えたい場合\生成AIによる時間削減と、浮いた時間を会社の成果へつなげる考え方は、こちらで扱っています。

AI業務効率化|作業は速くなるのに、会社の数字が変わらない理由生成AIを使っているタスクの所要時間は平均16.7%、週26.4分短くなっています。一方でその削減は会社全体の効率化にはつながっていません。調査データをもとに、削減の規模と、効果を会社に残すために先に決めることを整理します。AI導入記事を読む

他社ではどのような仕事にAIを使っているのか知りたい場合\業種別の事例から、自社の候補業務を探す方法は、こちらで紹介しています。

AI活用事例|業種別の使われ方と、自社の業務に当てはめる方法中小企業でのAIの使われ方を、業種別の集計で示しました。8業種で何に多く使われているかを回答数つきで確認し、そこから自社で最初に試す作業を1つ選ぶまでの基準を説明します。AI導入記事を読む

この順番で読むと、「生成AIで何ができるか」を調べ続ける状態から、自社で何を試すか、どう導入するかへ話を進めることができます。

まとめ|生成AIを使う仕事を1つ決める

生成AI活用を始めるとき、用途をできるだけ多く知る必要はありません。

自社で今行っている仕事を分け、その中から生成AIへ任せられそうな作業を1つ見つけるほうが先です。

候補を探すときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。

  1. 1STEP 1作業へ分ける自社の仕事を「要約」「文書作成」「書き換え」「思考整理」「分析補助」「回答補助」などの作業へ分ける
  2. 2STEP 2候補を探す繰り返し発生し、入力材料があり、人が結果を確認できる仕事を探す
  3. 3STEP 31つ選ぶ間違えた場合の影響を小さくできるものから1つ選ぶ
  4. 4STEP 4運用ルールを決める入力してよい情報、出力を確認する人、使ってよい業務を決める
  5. 5STEP 5広げるか考える試した結果を見て、部署での共通化やシステム連携へ広げるか考える

ここまで決められれば、「生成AIを活用したい」という状態から、「この仕事で試す」まで話を進められます。

候補が複数あって決めきれない、または生成AIを使うべきか判断できない場合は

業務課題・データ・体制を整理するAI活用診断から、導入ロードマップ、PoC、運用定着までを支援しています。対象業務がまだ固まっていない場合は、AI活用の優先テーマを決める段階から支援内容を確認できます。

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