相談する
AI導入

ビジネスのAI活用|用途の偏りと、選ぶ領域の決め方

ビジネスのAI活用|用途の偏りと、選ぶ領域の決め方のアイキャッチ画像

執筆者

ビジネスでAIが何に使えるかは、検索すればいくらでも出てきます。24例、12選と、数を競っている状態です。困るのはその先です。並んだ使い道のうち、実際にやっている会社がどれだけあるのか。

この記事では、使い道ごとに何%の会社がやっているかを、国の調査から見ていきます。読み終えたら、来期の方針に載せる一つを選び、外したものについて理由を言えるようになります。

要点

この記事の要点

  • ビジネスのAI活用は生成AIだけでなく、認識や予測を含むAI全般
  • 使い道で最も多いのは文書の要約や翻訳、校正で82.5%
  • 自分たちの商品やサービスをAIで良くすると答えた会社は10.9%
  • 効果が出た会社でも、売上や利益が伸びたのは3.9%
  • 来期に載せるのは、やっている会社が多く効果も出ている一つ

AI活用に含まれる技術の範囲

ビジネスのAI活用とは、文章や画像をつくる、画像や音声を見分ける、これまでのデータから先を見込む。こうした働きを会社の仕事に組み込むことです。ChatGPTのような生成AIだけの話ではありません。

AI活用に含まれる技術の種類

種類

何をするものか

社内で話に出てくる形

生成AI

文章や画像、プログラムを作る

議事録、資料のたたき台、返信文

認識系のAI

画像や音声、文字を見分ける

検品、帳票の読み取り、通話記録

予測系のAI

これまでのデータから先を見込む

需要の予測、発注量、設備の異常検知

国の機関であるIPAが1,799社に聞いた調査では、AIを使っている、または試しに使っている会社が58.0%でした。そのうち生成AIを入れているのが44.0%です。この差の分だけ、生成AI以外のAIも会社の中で動いています。

自分の会社がどのあたりにいるかは、規模別と業種別のデータで説明しています。

日本のAI導入率|規模・業種別の最新データと自社の立ち位置日本のAI導入率は調査によって20.4%から86.4%まで割れます。総務省と中小企業基盤整備機構の最新調査をもとに、資本金規模別・業種別の数字を母数つきで整理し、自社が当てはまる1つの数字の選び方と、未導入か「導入済みだが何も決めていない」かの見分け方を解説します。AI導入記事を読む

社員が使っているかどうかと、会社として決めたかどうかも別の話です。同じ調査で、生成AIを入れている、試している、検討していると答えた会社のうち、社員が自分の仕事に使っているのは63.3%。一方、部署の仕事の流れに組み込まれているのは11.9%でした。使っている人はいるが、会社としては何も決まっていない。この状態が普通です。

企業がAIの用途に挙げているもの

使い道はいろいろ語られていますが、会社が実際に挙げるものは、文書と情報のまわりに集まっています。自分たちの商品やサービスをAIで良くすると答えた会社は、1割ほどです。

AIの使い道として挙げられた割合が、文書と情報の3項目で8割前後、製品の高度化と計画支援で1割以下に分かれることを示した比較図

使い道ごとに挙げた企業の割合

使い道

挙げた会社の割合

本記事の判断

文書や音声の要約、翻訳、校正

82.5%

来期の候補になる

文書やレポートの作成

80.5%

来期の候補になる

情報の検索、収集、分析

77.0%

来期の候補になる

自社製品やサービスの高度化

10.9%

来期は外す

生産、物流、サービス提供の計画支援

6.0%

来期は外す

この%は、AIを使っている、試している、検討していると答えた会社のうち、その使い道を挙げた会社の割合です。検討中の会社も入っているので、全部がもう動いているという意味ではありません。右端は調査の結果ではなく、この記事の判断です。

業種ごとの使われ方は、こちらで説明しています。

AI活用事例|業種別の使われ方と、自社の業務に当てはめる方法中小企業でのAIの使われ方を、業種別の集計で示しました。8業種で何に多く使われているかを回答数つきで確認し、そこから自社で最初に試す作業を1つ選ぶまでの基準を説明します。AI導入記事を読む

見るのは順位ではありません。上の3つと下の2つの差です。 8割の使い道と1割の使い道を同じ「AI活用」という一言でまとめたままだと、どっちに進む話なのかが最後まで決まりません。

効果が出ている領域と出ていない領域

効果は、仕事が速くなったという方向に集まっています。売上や利益が伸びたと答えた会社は、ほとんどありません。

AI導入で出た効果が、仕事の速さと手間の削減に集まり、顧客満足や売上利益は数%にとどまることを示した比較図

出た効果ごとの割合

出た効果

挙げた会社の割合

仕事が速くなった、手間が減った

91.6%

企画や提案の質、スピードが上がった

48.9%

残業が減った

29.2%

お客様の満足度が上がった

4.5%

売上や利益が伸びた

3.9%

この%は、効果があったと答えた会社の中での内訳です。ここから、AIでは売上が伸びないとは言えません。この調査は原因まで調べていませんし、やっている会社が少ないことと、やってもうまくいかないことは別だからです。

言えるのは一つだけ。売上をつくる側のAIは、いま多くの会社がいる場所ではない、ということです。

仕事がどこまで速くなるかは、こちらで説明しています。

AI業務効率化|作業は速くなるのに、会社の数字が変わらない理由生成AIを使っているタスクの所要時間は平均16.7%、週26.4分短くなっています。一方でその削減は会社全体の効率化にはつながっていません。調査データをもとに、削減の規模と、効果を会社に残すために先に決めることを整理します。AI導入記事を読む

これは社内での言い方に効きます。ある領域を来期から外すとき、うちには合わないと言うより、効果が出た会社の中でもそこに届いたのは4%に満たないと言うほうが、他の役員に通ります。外す理由を数字で持てる。この章の効き目はそこです。

来期の方針に載せる領域の決め方

選ぶのは、やっている会社が多くて、効果も出ている領域から一つです。

候補の書き出しから、少ない側を外し、件数の多い作業を1つ選び、AIか自動化かを見分けるまでの4ステップを示した図
  • 候補になりそうな作業を、部署をまたいで書き出す
  • やっている会社が少ない側の作業を、来期の候補から外す
  • 残ったなかで、件数が多い作業を一つ選ぶ
  • その作業がAIの話なのか、いつもの自動化で足りるのかを見分ける

最後でつまずくことがあります。

作業に迷うところがあるかどうかで、AIの話と決まった処理の自動化に分かれることを示した分岐図

やり方が決まっていて、迷うところがない作業。これはAIより、決まった処理を自動で流すほうが安く早く終わります。逆に、毎回入ってくるものが違って、出来上がりに幅がある作業。こちらがAIの話です。この見分けは、社内の作業を並べただけだと付きにくいところです。CREARIは、AIでなくいつもの自動化で足りるなら、そう伝えています。

着手前に決めることは、こちらで説明しています。

AI導入とは?社員が使っても進まない理由AI導入とは、AIを買うことではなく、どの仕事をどこまで任せ、誰が結果を確認するかを決めることです。社員が個人で使っていても会社として進まない理由、他社が止まっている場所、候補になる業務の見つけ方、始める前に決める3点を公的調査をもとに整理しました。AI導入記事を読む

お金の感覚もここで持てます。AIを使っている、試している、検討している会社のうち、AIに使うお金が売上の1%に届かないと答えたのが56.8%でした。答えたい会社だけが答えた設問で、極端な数字は除いてありますが、最初から大きな枠を取る話ではないとは言えます。

進める役割は社内の誰が持つか

IT部門の長が持つ会社がいちばん多く、専任を置いている会社はほとんどありません。

AI活用を進める役割を持っている人

誰が持っているか

割合

IT部門の長

46.0%

経営層

32.1%

実際に使う現場の長

27.5%

CAIO以外の専任者

9.8%

CAIO(AIの責任者)

2.9%

人がいない場合の進め方は、こちらで説明しています。

中小企業のAI活用|「様子見」で終わらないための判断条件中小企業のAI導入率は20.4%、生成AIの活用は中小32.4%。母数つきの調査で規模・業種・体制の実態を示し、やるか先送りかを自社の状態で決める2つの問いと、「今はやらない」が判断として成立する条件を解説します。AI導入記事を読む

決め方はかんたんです。選んだ領域が、どの部署の作業か。文書と情報の作業ならその部署の長。部署をまたぐなら、IT部門の長か経営層に寄せます。

社内に持ち手を育てるところから始める場合

選んだ領域を回す担当を社内に育てる支援です。対象の作業の洗い出しから、使い方が定着するところまでを扱います。

AI人材育成・組織開発を見る

方針として社内外に何と言うか

選んだ領域と、外した理由。この二つを数字つきで2文にします。

来期は、社内向け文書の作成と要約にAIを使います。AIを使っている、または検討している会社の8割がこの使い道を挙げているためです。一方、自社サービスへのAIの組み込みは、挙げている会社が1割ほどなので、来期は対象に入れません。

まずは全社で使ってみる。この言い方だと対象が決まらないので、期の途中で進み具合を確かめられません。

領域ごとの次に読むもの

来期に載せる領域ごとの次に読むもの

来期に載せる領域

次に読むもの

そこで分かること

まだ絞れない

AI活用事例

業種ごとの使われ方と当てはめ方

文書作成や議事録

AI業務効率化

どれだけ速くなるか、効果の測り方

社内のChatGPTの整理

ChatGPT導入の進め方

個人利用と会社契約の境目

着手手順を知りたい

AI導入とは?

始める前に決める3つのこと

専任がいない

中小企業のAI活用

人が足りない会社での判断条件

他社と比べたい

日本のAI導入率

規模別と業種別の導入率

いくつも同時に進めると、どれも来期の方針としては動きません。

まとめ|用途の数ではなく、やっている会社の多さで来期の1つを決める

会社が挙げる使い道は、文書の要約と作成、情報の検索に集まっています。自分たちの商品やサービスをAIで良くするは10.9%、生産や物流の計画づくりは6.0%。効果の面でも、効果が出た会社のうち売上や利益が伸びたのは3.9%でした。

決めるのは使い道の一覧ではありません。やっている会社が多い領域の中から、自社のどの作業を最初に当てはめるかです。

領域を決めたあとの相談について

領域は決まったが、それがAIの話なのか、いまあるツールや自動化で足りるのか。ここで止まることがあります。やり方が決まっている作業はAIを使わないほうが安く早いことが多く、その見分けは、社内の作業を外から見ないと付きにくいためです。

CREARIは年間40社以上のAI導入を支援しています。そのうち半数以上が、どの作業を対象にするかの洗い出しから入る案件です。AIでなくいつもの自動化で足りる場合は、そう申し上げます。

相談の前に次の4つを書き出しておくと、初回でそのまま切り分けができます。

相談前に書き出しておく4つ

  • 対象にしたい作業の名前
  • その作業の件数と、1件あたりにかかっている時間
  • いまのやり方と、扱う情報の置き場所
  • 社内でまだ決まっていないこと

領域を決めたあとの相談ができます

支援の範囲と進め方はAI導入支援のページに載せています。同じページから相談できます。ご相談とお見積りは無料で、最短1営業日でご返信します。

AI導入支援について相談する

参考にした調査

この記事の%は、設問ごとに聞いた相手が違います。使い道と体制、投資額はAIを使っている、試している、検討していると答えた会社。効果はその中で効果があったと答えた会社が対象です。