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AI開発を依頼できる企業|工程で変わる依頼範囲と成果物

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AI開発を依頼できる会社は、検索すればいくらでも見つかります。比較記事や企業一覧も多いため、候補を集めるところで困ることはそれほどありません。

難しいのは、そのあとです。

候補を何社か並べてみると、書いてあることがそろいません。ある会社は「モデルの精度を上げる」と説明し、別の会社は「基幹システムまでつなぎ込む」と書いている。どちらもAI開発を請け負う会社ですが、同じものを売っているわけではありません。

違うのは、会社の良し悪しというより、どの工程まで引き受けているかです。

この記事では、AI利活用の工程を物差しにして、依頼先を4つのタイプに分けます。そのうえで、何を頼めるのか、依頼したあとに何が自社へ残るのかまで整理します。

個社の比較に入る前に、「自社はどのタイプの会社へ声をかければよいのか」まで決められる状態を目指します。

要点

この記事の要点

  • AI開発の外注は、AI利活用8工程のうち、どこからどこまでを外へ出すかを決めること
  • AI開発企業は、担える工程の範囲によって4タイプに分けて考えられる
  • 同じAI開発でも、タイプによって費用や期間が動きやすい箇所が違う
  • 納品物だけではなく、納品後に誰が直せるのかまで確認しておく
  • 保守と責任の境目は、契約前に工程ごとに線を引いておきたい
  • 個社を選ぶ前に、自社がどの工程から外へ出すのかを決める
AI利活用の8工程(データ収集から適正利用まで)が、モデル開発中心型・システム組込中心型・一貫受託型・運用/利用設計中心型の4つの依頼先タイプにどう対応するかを示した図

AI開発企業を分ける8つの工程

AI開発を外注するというと、開発全体を丸ごと他社へ任せるイメージを持ちやすいですが、実際にはそうとは限りません。

データを整えるところだけを頼む場合もあれば、モデルはすでに決まっていて、既存システムとの連携だけを依頼する場合もあります。

つまり、AI開発を外へ出すときに見たいのは、「AI開発を頼むかどうか」ではなく、どの工程を外へ出すのかです。

経済産業省が2025年2月に公表した「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(令和7年2月。2026年8月26日確認)では、AI利活用の流れを次の8工程として示しています。

各社の提案内容を比べるときも、この8工程に当てはめると見やすくなります。

AI利活用の8工程

工程

この工程で相手がすること

提案書での言い方

データ収集

学習や参照に使うデータを集める

データ基盤の構築、データ連携

前処理

集めたデータを使える形に整える

クレンジング、アノテーション

AIモデル学習・作成

データからモデルを作る、既存モデルを調整する

ファインチューニング(既製のモデルを自社のデータで調整すること)

AIモデル検証

モデル単体の精度を測る

精度評価、PoC(本開発の前に小さく作って効果を確かめる工程)

AIシステム検証

業務で使う形にしたときの動作を確認する

受け入れテスト、業務シナリオ検証

AI組込・連携

既存の業務システムにつなぎ込む

RAG(社内文書を検索させて回答の根拠にする仕組み)構築、API連携

運用

動かし続ける。精度の劣化を監視する

モニタリング、再学習の運用

適正利用

使ってよい範囲を決めて守らせる

社内ガイドライン策定、定着支援

実際に提案書を見ると、「前処理」「AIシステム検証」のように経済産業省と同じ工程名で書かれているとは限りません。

むしろ、「データ連携」「RAG構築」「精度評価」「定着支援」といった具体的な作業名で書かれていることのほうが多いはずです。

そこで、提案書に書かれている作業を右の列から左へ戻してみます。

たとえば「データクレンジングとファインチューニング、精度評価まで」であれば、前処理からAIモデル検証までを引き受ける提案だと分かります。

反対に、その提案書の中に出てこない工程は、自社で持つか、別の会社へ頼むことになります。

ここを見ずに会社名だけで比較すると、「A社はここまでやってくれるのにB社はやってくれない」と見えますが、そもそも請け負っている工程が違うことがあります。

なお、まだ「何を作るのか」自体が決まっておらず、既存サービスを使えば足りるのか、開発する必要があるのかも判断できていない場合は、その整理が先です。

外に出す範囲と、自社に残す判断の分け方は、こちらで説明しています。

生成AI導入支援とは?頼める範囲と、依頼前に決めておくこと生成AI導入支援で外注できる工程と、自社にしか決められない判断を工程ごとに整理しました。支援が不要な場合、支援会社の立場による違い、見積もりを比較するための条件まで解説します。AI導入記事を読む

依頼先の4タイプと、担える工程範囲

8工程で見ていくと、AI開発企業は大きく4つのタイプに分けて考えられます。

ここは先に補足しておきます。

以下の4タイプは、経済産業省が定義している分類ではなく、CREARIが「どの工程を中心に担う会社か」という観点で整理したものです。分類の物差しにしている8工程と、後ほど出てくるAI開発者・AI提供者・AI利用者の区分は、経済産業省のものです。

依頼先企業の4タイプ

タイプ

担う工程

依頼できること

向く案件

注意点

モデル開発中心型

前処理からAIモデル検証まで

データの整形、モデルの学習と調整、精度の測定

既製のモデルでは精度が出ない。独自データでの判別が要る

業務システムへの組み込みは範囲外のことが多い

システム組込中心型

AIシステム検証とAI組込・連携

業務システムとの接続、権限設計、動作検証

使うモデルは決まっており、つなぎ込みが課題

モデルの精度そのものには踏み込まない

一貫受託型

データ収集から運用まで

要件の整理から運用開始まで通しで

社内に技術の判断ができる人がいない

工程ごとの単価が見えにくい。範囲の線引きを契約書で確認する

運用・利用設計中心型

運用と適正利用

精度劣化の監視、利用ルールの設計、社内展開

作ったものが使われていない。運用が属人化している

作る工程は範囲外

実際に候補企業を見分けるときは、会社紹介の肩書きよりも、提案の中で何の話に時間を使っているかを見るほうが分かりやすいです。

学習データやファインチューニング、精度評価の話が中心であれば、モデル開発中心型に近い会社です。

RAG構築やAPI連携、基幹システムとの接続が中心なら、システム組込中心型と考えられます。

PoCだけではなく、本番実装から運用まで一続きで提案しているのであれば一貫受託型。すでに作ったAIについて、精度監視や社内展開、利用ルールの整備を中心に扱っているなら運用・利用設計中心型です。

たとえば、「既製モデルではどうしても必要な精度が出ない」と分かっているなら、モデル開発側を見たほうが話は早くなります。

反対に、AI自体はすでに動いているのに現場で使われず止まっているのであれば、新しくモデルを作る会社を探すより、運用や利用設計を見られる会社のほうが合う可能性があります。

AI開発者、AI提供者、AI利用者の違い

AI企業の比較記事を見ると、基盤モデルそのものを開発している会社、企業向けにAIシステムを作る会社、完成したAIサービスを提供している会社が同じ一覧に入っていることがあります。

この状態で企業名だけを並べても、なかなか候補を絞れません。

そもそも役割の層が違うからです。

経済産業省のチェックリストでは、AIに関わる登場人物を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3者に分けています。

AI開発者(基盤モデルを作る会社)、AI提供者(企業向けAIシステムを作る会社)、AI利用者(自社の業務にAIを組み込みたい企業)の3者の関係を示した図

基盤モデルそのものを作る会社はAI開発者にあたります。一方、一般の企業が「自社の業務にAIを組み込みたい」と考えたとき、実際の契約相手になることが多いのはAI提供者側です。

一覧記事でよく名前を見る会社だからといって、そのまま自社の発注先になるとは限りません。

ここは、会社の知名度を見る前に「自社が頼みたい工程を引き受ける会社なのか」を確認しておきたいところです。

CREARIでは、営業支援ツール、議事録とタスクの自動生成、建設の工程管理など、AIを実際の業務に組み込むシステム開発を請け負っています。

AIソリューション開発

課題整理から開発、改善運用までをどう進めているかをまとめています。

サービス内容を見る

タイプで変わる、費用と期間の幅の出方

AI開発の見積もりを何社か取ると、同じ相談をしたつもりでも金額が数倍違うことがあります。

もちろん会社ごとの価格差もありますが、それだけで説明できるとは限りません。

先に見たいのは、どこまでの工程が見積もりに入っているかです。

さらに、同じ工程範囲でも、費用や期間がぶれやすい場所はタイプによって違います。

タイプ別に費用・期間がぶれやすい箇所

タイプ

費用の幅が出やすい箇所

期間が読みにくくなる箇所

モデル開発中心型

データの形式がそろっていないと、前処理がデータ収集から積み上がる

合格ラインに届かず、学習と評価をやり直す回数

システム組込中心型

つなぎ込みが接続先の数だけ増える

接続先ごとの仕様確認と検証の往復

一貫受託型

工程ごとの単価が見えず、決めきれていない部分が作る費用に紛れる

前の工程の遅れが後ろ全部にずれ込む

運用・利用設計中心型

監視と改修をどちらがどこまで持つかで変わる

現場に定着するまでの期間が読めない

たとえばモデル開発中心型であれば、「モデルを作る費用」だけを見ても十分ではありません。

渡すデータの形式がそろっていなければ、その前にデータを集め直したり、欠損を直したり、学習に使える状態へ整えたりする作業が増えます。

システム組込中心型なら、接続先が1つなのか5つなのかで話が変わります。会計システム、CRM、社内データベースなど、接続先が増えれば、それぞれの仕様確認と動作検証も必要になります。

ここで見たいのは、見積書に書かれている金額だけではありません。

その会社のタイプで費用が動きやすい条件が、前提として書かれているかまで確認します。

安く見える見積もりでも、後から増えそうな工程がまだ数えられていないだけ、ということがあります。

CREARIが請けている案件でも、広告レポートの自動化や経理情報の一元管理など、必要なデータが複数のシステムに分かれている案件ほど、前処理や連携部分の比重が大きくなります。

AI開発の費目や、どこで金額が動くのかについては、こちらで詳しく説明しています。

AI導入の費用|確認できる金額と、自社の数字の作り方AI導入の費用を、公式価格が確認できる範囲とそうでない範囲に分けて説明します。ChatGPTやMicrosoft 365 CopilotなどのAIツールの価格を出典と確認日つきで示し、見積書に載らない費用、見積もり依頼前に決める4項目、補助金を使った場合の実質負担までを扱います。AI導入記事を読む

手元に残る成果物と、保守・責任の分かれ目

依頼する工程が違えば、開発が終わったあとに自社へ残るものも変わります。

ここは、契約前にかなり見ておきたいところです。

完成したシステムが動いている間は問題にならなくても、半年後にデータが変わった、接続先の仕様が変わった、精度が落ちたとなったときに、「誰が直せるのか」が分からなくなることがあるからです。

タイプ別の成果物・保守・責任

タイプ

主な成果物

保守で必要になること

責任の境目になりやすい箇所

モデル開発中心型

学習済みモデル、前処理の手順、精度の検証結果

データが変わったときの再学習

精度が落ちた原因が、データ側の変化かモデル側の問題か

システム組込中心型

組み込み済みのシステム、連携設定、動作検証の結果

接続先システムの仕様変更への追随

接続先が仕様を変えたときの改修負担

一貫受託型

要件定義書、検証の報告、モデル、システム、運用手順

全工程にまたがる改修

工程ごとの範囲が契約書に書かれていない場合の全般

運用・利用設計中心型

運用手順、利用ルール、評価の仕組み

ルールの見直しと再周知

現場が手順どおり使わなかった場合

確認したいのは、「何を納品してもらえるか」だけではありません。

その納品物を使って、次の修正を自社や別の会社でもできるのか。ここまで見ておく必要があります。

たとえば、学習済みのモデル自体は納品されたとしても、その前にどんな処理をしてデータを整えたのかが残っていなければ、データの形式が変わったときに自社では再現できません。

結果として、少しデータが変わるたびに同じ会社へ再依頼することになります。

それ自体が悪いわけではありません。継続して同じ会社へ任せる前提であれば問題ない場合もあります。

ただ、「納品されたら自社で持てると思っていた」のに、実際には開発会社にしか直せない。このズレは契約後に分かると厄介です。

何が残るのかと一緒に、残ったものを誰が触れるのかまで確認しておきたいところです。

タイプごとに追加で確かめること

納品物や受け入れ基準など、どの会社へ頼む場合でも確認したい項目があります。

それとは別に、その会社がどの工程を担当するかによって、追加で見ておきたいことも変わります。

ポイントは、相手が担当する工程そのものより、その工程が終わったあとに何が起きるかです。

タイプごとに追加で確かめること

タイプ

追加で確かめること

決めておく理由

モデル開発中心型

渡したデータが他社向けの学習に使われないか。再学習が必要になったとき、どちらが実施するか

渡したあとでは条件を変えられない

システム組込中心型

基盤モデルの提供元が規約や仕様を変えたとき、誰がどう対応するか

作ったものが動かなくなったときの改修費でもめる

一貫受託型

どの工程で契約を区切るか。途中でやめる場合、そこまでの成果物が使える形で残るか

工程がまたがるほど、範囲の線が消える

運用・利用設計中心型

定着したと判断する基準を誰が決めるか

基準がないと、支援の終わりが決まらない

特に見落としやすいのが、システム組込中心型の「外部サービス側が変わったとき」です。

たとえば外部の基盤モデルをAPIで使っている場合、その提供元が仕様や利用規約を変更することがあります。

自社側では何も変えていなくても、これまで動いていた仕組みに修正が必要になることがあります。

このとき、保守契約の中で対応するのか、追加開発になるのか。そもそも誰が変更を検知するのか。

ここを先に決めていないと、「納品した時点では正常に動いていた」という開発会社側の話と、「今は動かないのだから直してほしい」という発注側の話がぶつかります。

モデル開発中心型であれば、再学習の扱いも同じです。

最初の精度を出して納品したところまでなのか、データの傾向が変わったあとの再学習まで含むのか。このあたりは、契約前に確認しておきたいところです。

次に決める1点をどう決めるか

ここまで読むと、会社を探す前に確認するものがいくつも出てきます。

8工程のどこを外に出すのか。どのタイプを選ぶのか。予算はいくらか。何を比べるのか。

全部を一度に決めようとすると、かえって進みにくくなります。

まずは、今どこが曖昧なのかを見て、最初に当てはまるところを1つ決めます。

いま曖昧なものと、次に決める1点

いま曖昧なもの

次に決める1点

決まると進むこと

対象にする業務が絞れていない

対象業務を1つ決める

8工程のどこが重いかが見える

8工程のどこから外に出すか決まらない

自社に残す工程を決める

相手にすべきタイプが決まる

予算の枠が取れていない

予算枠の上限を決める

工程範囲を予算から逆算できる

相手のタイプは決まった

比較する項目を決める

個社の比較に進める

上から見て、最初に当てはまったところを持ち帰るくらいで構いません。

たとえば、まだ「営業のどの仕事にAIを使うのか」すら決まっていない状態で、モデル開発会社とシステム開発会社を比較しても判断できません。

先に対象業務を1つ決めます。

対象業務は決まっているものの、「データを整えるところから頼むのか、システムへつなぐところだけ頼むのか」が曖昧なら、自社に残せる工程を見ます。

そこまで決まれば、初めて候補企業の比較がしやすくなります。

4つ全部を1回の会議で決める必要はありません。

むしろ、その状態で企業一覧を先に作ってしまうと、候補は増えたのに比較できない、という最初の状態へ戻ってしまいます。

対象業務そのものがまだ絞れていない場合は、他社がどの業務でAIを使っているかを見るところから始めると考えやすくなります。

AI活用事例|業種別の使われ方と、自社の業務に当てはめる方法中小企業でのAIの使われ方を、業種別の集計で示しました。8業種で何に多く使われているかを回答数つきで確認し、そこから自社で最初に試す作業を1つ選ぶまでの基準を説明します。AI導入記事を読む

相手にすべきタイプまで見えていて、これから個社を比較する段階であれば、AIコンサルティング会社の選び方も参考にしてください。

まとめ|次に決めるのは会社ではなく、どの工程から外に出すか

AI開発企業は、すべてを同じカテゴリで比べられるわけではありません。

モデル開発を中心に見る会社もあれば、既存システムとの連携を得意とする会社、要件整理から運用まで一貫して持つ会社、作ったあとの運用や定着を中心に見る会社もあります。

担う工程が違えば、頼めることも変わります。

納品後に手元へ残るものも、保守で必要になることも、費用や期間が動く場所も変わります。

そのため、最初に決めたいのは「どの会社が一番よさそうか」ではありません。

自社ではどこまで持てて、どの工程から外へ出したいのか。

ここが決まっているだけでも、候補にすべき会社のタイプはかなり絞れます。見積もりを取ったあとも、各社がどこまでを金額に含めているのかを同じ範囲で見やすくなります。

一方で、対象にしたい業務までは決まっていても、実際にどこから開発が必要なのかを社内だけで切り分けるのが難しいことがあります。

既製サービスの設定だけで足りるのか。自社データに合わせた調整が必要なのか。今使っているシステムとの連携まで作る必要があるのか。

扱っている情報を外部のAIへ渡してよいかも含め、このあたりは普段その業務をしている人ほど、切り分ける対象として見えにくい部分です。

外に出す工程を決めるところから相談したい場合

CREARIは年間40社以上のAI導入を支援しており、そのうち半数以上は、対象業務の棚卸しの段階からのご相談です。

相談では、まず対象業務でどんな情報を扱っているのか、今の手順がどこまで決まっていて、どこに人の判断が残っているのかを確認します。

そのうえで、既製サービスの設定で届く範囲なのか、自社向けの調整が必要なのか、システムとの連携まで作ったほうがよいのかを整理していきます。

予算がまだ決まっていない段階でも、どこから外へ出すかの切り分けから相談できます。

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参考にした資料

  • 経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」令和7年2月(2026年8月26日確認)

https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218003/20250218003.html