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AI開発会社の選び方|比較の前に確認すること

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AI開発会社は、AIを使った仕組みを設計して業務に組み込むところまでを請け負う会社です。候補を集めること自体は難しくありません。難しいのはその先で、並んだ社名から、自社に合う相手をどう絞るかです。

この記事では、AI開発の発注を段階で区切る考え方と、見積書や契約書のどこで各社の違いが出るかを説明します。読み終えたら、1本目の契約をどこまでにするかを自分で決めて、最初の打ち合わせに持って行く確認項目を用意できるようになります。

要点

この記事の要点

  • AI開発会社は、1本目の契約をどこまで頼むかから決める
  • AI開発は、契約時点で成果物や精度を確定しにくい
  • そのため、「決める・試す・作る・回す」で段階を区切る
  • 見積もりは金額より、何が含まれているかを比べる
  • 会社選びでは、精度が出なかったときの対応を明確にできるかを見る

作るものがまだ固まっていないなら、決めるところから頼む方法もあります。その場合の相談先は、「AIコンサルティング会社の選び方|比べる前に決める5項目」にまとめています。

AI開発会社に頼める範囲

頼めるのは、対象の業務を決める段階から、仕組みを作って運用に乗せるところまでです。ただし、どこから頼むかは決まっていません。ここが会社ごとに違うので、同じ相談をしても返ってくる提案の形が変わります。

AI開発は、大まかに次の4つの段階で進みます。

AI開発が決める・試す・作る・回すの4段階で進むことを示した図
  • 決める:対象の業務を絞り込み、AIで解く範囲を決める
  • 試す:小さく作って、狙った精度が出るかを確かめる
  • 作る:業務で使える形にして、既存のシステムにつなぐ
  • 回す:運用しながら精度と手順を直していく

見積もりは、どの段階から頼むかによって金額が変わります。決めるところから頼みたい発注側と、試すところからで足りると考える開発会社側とでは、見積もりに含まれる作業の量が違います。どの段階から頼むのかは、発注側と開発会社側であらかじめすり合わせておく必要があります。

どこまでを外に出して、何を自社に残すかから決めたい場合は、以下の記事で自社が決めるべき範囲を確認できます。

生成AI導入支援とは?頼める範囲と、依頼前に決めておくこと生成AI導入支援で外注できる工程と、自社にしか決められない判断を工程ごとに整理しました。支援が不要な場合、支援会社の立場による違い、見積もりを比較するための条件まで解説します。AI導入記事を読む

一覧を比べても絞れないのはなぜか

一覧記事では、実績や得意分野、価格など「会社側の特徴」で比較しがちです。ただ、それだけでは自社に合う会社か判断できません。

さらに、「うちの業務でもできますか」「このデータで足りますか」といった質問は、条件を詰める前では答えが「できます」に寄りやすく、会社ごとの差が出ません。

実際、中小企業では高コストやAIノウハウ・人材不足が導入の壁になっています。だから見る軸を会社側ではなく自社側に移し、自社が今どの段階にいるかから考えます。

見積書のどこを見るか

見るべきは金額より、何が見積もりに含まれているかです。相場は公表情報が少なく、単純比較しにくいため、次の6点を確認します。

見積書で確認する6点

  • 「決める・試す・作る・回す」が段階別に分かれているか
  • 精度や受入基準が決まっているか
  • 学習・評価のやり直しが何回まで含まれるか
  • データ整備をどちらが担当するか
  • 契約が請負か準委任か
  • 運用後の再学習や監視費用が別になっているか

同じ金額でも、含まれる作業が違えば条件は同じではありません。2社を比べるときは、金額より先にこの6点をそろえて見ます。

自社の予算を組み立てたい場合は、以下の記事で費目を整理しています。

AI導入の費用|確認できる金額と、自社の数字の作り方AI導入の費用を、公式価格が確認できる範囲とそうでない範囲に分けて説明します。ChatGPTやMicrosoft 365 CopilotなどのAIツールの価格を出典と確認日つきで示し、見積書に載らない費用、見積もり依頼前に決める4項目、補助金を使った場合の実質負担までを扱います。AI導入記事を読む

「やってみないと分からない」は逃げなのか

AI開発では、契約時点で成果物や精度を確定できないことがあります。経済産業省のガイドラインでも、事前の性能保証は難しく、段階的に検証しながら進める方法が示されています。

AI開発を段階で検証する4段階

段階

やること

分かること

アセスメント

一部のデータで実現性を確認

先に進む価値があるか

PoC

試作して精度を確認

狙った精度が出そうか

開発

業務で使える形にする

実務で使えるか

追加学習

運用しながら改善する

精度を維持できるか

対象業務やデータの状態が固まっていない場合は、段階ごとに契約を区切る方が、未確定部分の費用を抱えにくくなります。 一方、条件がすでに固まっているなら、まとめて契約した方が早い場合もあります。

また、仕様や合格基準を事前に決めにくいAI開発では、完成を約束する請負より、進めることに対して支払う準委任が合いやすいとガイドラインでは整理されています。

開発の契約で先に決めること

AI開発では、狙った精度が出なかったときにどうするのかを、契約の前に決めておくことが大切です。

ここで見たいのは、契約書の細かい書き方ではありません。候補の会社に同じことを聞いてみて、どこまで具体的に答えられるかを見るための項目です。ここは、会社ごとに意外と差が出ます。

経済産業省も2025年2月に「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表しています。生成AIの普及を踏まえて、利益やリスクを誰が持つのかを整理するための資料です。

開発を頼むのであれば、少なくとも次の4点は先に確認しておきたいところです。

開発の契約で先に確認しておきたい4つの項目(合格基準・権利の帰属・請負か準委任か・精度が落ちたあとの扱い)を示した図

何が出たら合格とするか

「精度が高ければOK」ではなく、何を満たしたら合格なのかを先に決めます。

どのデータで測るのか。何の指標を見るのか。基準を下回った場合はどうするのか。

ここが曖昧なままだと、最後は「思っていたより精度が低い」「これで十分ではないか」といった話になってしまいます。そうならないためにも、合格の基準は先に決めておくことが大切です。

作ったものは誰のものになるか

「成果物は自社のもの」と書いてあっても、それだけでは分からないことがあります。

生データ、学習用データ、プログラム、学習済みモデルでは、それぞれ扱いが違うからです。

特に確認しておきたいのは、自社のデータから作ったモデルを、開発会社が他社でも使えるのかという点です。

何が自社に残って、相手に何が残るのか。ここは後から確認するのではなく、先に確認しておくことが大切です。

請負か準委任か

請負と準委任では、同じ金額でも約束している内容が違います。

  • 請負:完成させて納めることに対して支払う
  • 準委任:開発を進めることに対して支払う

AI開発は、事前に完成条件を決めにくいことがあります。そのため、ガイドラインでは準委任型の契約が合いやすいと整理されています。

ただし、請負ではできないという意味ではありません。何をもって完成とするか、何が出たら合格なのかまで決められるのであれば、請負で進められる場合もあります。

結局のところ、契約形態だけを見るのではなく、何を約束している契約なのかまで確認しておく必要があります。

精度が落ちたあとの扱い

AIは、作って終わりではありません。

運用を始めたあとに精度が落ちたとき、誰が再学習をするのか。その費用はどちらが負担するのか。ここまで先に決めておきます。

中小機構の調査でも、AI導入後の課題として「ランニングコストが高い」が44.0%、「運用担当者の負荷が重い」が29.1%でした。回答数は1,587です。

つまり、開発会社を見るときは、作るところだけではなく、作ったあとをどうするのかまで見ておく必要があります。

ここで挙げたのは、AI開発を頼むときに特に確認しておきたい項目です。

データをどこに置くのか、契約をどう終えるのかといった、外部に依頼するとき全般の確認項目は以下の記事にまとめています。

AIコンサルティング会社の選び方|比べる前に決める5項目AIコンサルティング会社を比べられないのは、候補が足りないからではありません。各社に渡す情報がそろっていないからです。相談前に決めておく5項目、会社のタイプ、費用が変わる理由、契約前に確かめることを説明します。AI導入記事を読む

契約前に確認しておきたい点は、会社によって差が出ます

開発の進め方や契約条件の考え方は、AI開発支援のサービスページでも確認できます。

AI開発支援の詳細を見る

最初の打ち合わせで確かめること

最初の打ち合わせでは、1本目でどこまで頼むのかを整理しておくことと、下の表を使って確認することが大切です。

社名を並べて比較するための表ではありません。候補の会社に同じことを聞いて、返ってきた答えを埋めていきます。

最初の打ち合わせで確かめる5点

確かめること

どこで確かめるか

答えが曖昧な場合

決める・試す・作る・回すのどこまで頼むか

見積書の項目

決まっていない作業の費用が、作る費用に含まれている可能性がある

何が出たら合格とするか

見積書の前提条件・契約書の検収条項

完了の判断が、あとから曖昧になる

精度が出なかったらどうするか

契約書・打ち合わせでの回答

追加費用や対応範囲を、その時点で決めることになる

学習済みモデルを他社へ転用できるか

契約書の権利帰属

自社のデータから作ったものが、すべて自社に残るとは限らない

運用後の再学習を誰が負担するか

見積書に別で載っているか

運用後に想定していなかった費用が出る可能性がある

この表で見たいのは、どの会社が一番優れているかではありません。

答えが曖昧だった項目は、その会社と自社の間で、まだ決まっていないことです。曖昧な項目が多いから悪い会社、ということでもありません。その分だけ、契約を結ぶ前にもう少し詰めることが残っている。そう考えると分かりやすいです。

依頼する範囲も、最初から細かく決める必要はありません。

たとえば、「この業務のこの作業を対象に、まずは試すところまで依頼する」くらいまで整理できていれば十分です。

ここが決まっているだけでも、各社がどこまでを見積もっているのかが見やすくなります。まずは、同じ範囲で話せる状態にしておくことが大切です。

よくある質問

Q

AI開発はいくらかかりますか。

A

同じ業務でも、**どこまでを1つの契約に含めるか**で金額は変わります。決めるところまでなのか、試すところまでなのか、作って納めるところまでなのか。依頼する範囲が広くなれば、その分見積もりも大きくなります。また、データをそのまま使えるのか、事前に整える必要があるのかでも金額は変わります。相場だけを見るのではなく、**自社の見積もりがなぜその金額になっているのかを見ることが大切です。**費目の分け方は「AI導入の費用」にまとめています。

Q

開発を頼む前に、社内で何を用意すればいいですか。

A

まず確認しておきたいのは、**対象にしたい業務の手順と、使うデータがどこにあるのか**です。誰が、何を使って、どの順番で進めているのか。そのデータを社外に出しても問題ないのか。最初から細かい仕様書まで作る必要はありません。このあたりが分かっているだけでも、開発会社側はどこから着手するか判断しやすくなります。

Q

個人のエンジニアに頼むのと、開発会社に頼むのは何が違いますか。

A

違いが出やすいのは、**作ったあとまで対応してもらう場合です。**精度が落ちたときの再学習や、担当者が変わったときの引き継ぎ、既存システムが変わったときの対応など、開発後にもやることは残ります。こうした部分まで任せたいのであれば、誰がどこまで対応するのかは先に確認しておくことが大切です。一方で、作って動かすところまでであれば、個人のエンジニアへの依頼でも成立することはあります。

相談前に決めておくとよいこと

最初に決めておきたいのは、どの業務を、どこまで頼むのかです。

とはいえ、最初からきれいに整理できている必要はありません。次のような状態でも相談できます。

  • 対象範囲を考えてみたが、この切り方で見積もりを取れるのか分からない
  • 対象にしたい業務が複数あり、どれから始めるか決めきれない
  • 見積もりはあるが、どこまで含まれていて、どこから追加費用になるのか分からない

CREARIでは、AI導入の戦略立案から実装、運用まで支援しています。年間40社以上を支援しており、その半数以上が業務の棚卸しから始まっています。AIを使わず、通常の自動化で十分な場合はそのようにお伝えします。

初回のご相談で、依頼範囲を一緒に整理します

どの業務から始めるか、どこまでを最初の依頼範囲にするかを一緒に整理します。ご相談とお見積りは無料で、最短1営業日でご返信します。予算がまだ決まっていない場合でも、分かる範囲からご相談いただけます。

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参考にした資料

  • 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン AI編」平成30年6月。対象は学習済みモデルの生成、すなわち機械学習モデルの受託開発。2026-08-26 確認

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/connected_industries/sharing_and_utilization/20180615001-3.pdf

  • 経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」令和7年2月。2026-08-26 確認

https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218003/20250218003.html

  • 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」令和8年3月。2026-08-27 に原典PDFで表8および表10を確認。調査期間は令和7年11月17日から12月12日、10,000社へ配付し、有効回収は1,668社で回収率16.7%

https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202603_AI_report.pdf