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デジタル化・AI導入補助金とは?対象になるAI導入と、ならないAI導入

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デジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録されたソフトウェアを導入する費用に出る補助金です。旧IT導入補助金が名前を変えたものにあたります。難しいのはその先です。自分が進めようとしているAI導入が、この補助金の対象に入るのかどうか。ここで計画がつまずきます。

登録済みのソフトウェアを買うか自社用に作るかを起点に、業務の種類をカバーしているか、交付決定より前に発注していないかを経て、対象・対象外に分かれる判定フローの図
要点

この記事の要点

  • 補助の対象は、事務局に登録済みのソフトウェアを導入する費用
  • 自社専用に一から作るAIは、この補助金対象外
  • 通常枠の補助率は原則2分の1以内。450万円は4種類以上の業務を対象にすることが条件
  • 導入を支える作業の費用は200万円が上限。比率が高すぎると申請できない
  • 申請には審査があり、申請数を交付決定数が下回っている

デジタル化・AI導入補助金とは?

事務局にあらかじめ登録されたソフトウェアなどを導入する費用に出る補助金です。旧IT導入補助金が、令和7年度補正予算の事業から名前が変わりました。

この制度では、補助の対象になるソフトウェアなどをまとめてITツールと呼びます。押さえることは3つです。

押さえること

押さえること

内容

何に出るか

事務局の審査を受けて登録されたITツールを導入する費用だけ

誰と申請するか

事務局に登録された「IT導入支援事業者」と2社1組で申請する。自社だけでは申請できない

どの枠を見るか

通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠/複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つ。AI導入で使う可能性が高いのは通常枠

登録されていないソフトウェアは、どれだけ業務に合っていても対象になりません。組む相手を探すことが、この補助金を使うと決めたあとの最初の作業になります。

名前にAIが入ったことで、対象が広がったように見えます。制度のルールを定めた公募要領は、ソフトウェアにAIを含むと書いています。事務局のITツール検索でも、AI機能を持つものだけを絞り込めるようになりました。変わったのは、その探しやすさです。名前が変わったことで対象が広がったとは、公募要領に書かれていません。

自社のAI導入は対象になるか|買う話と作る話

判定に入る前に、会社側の条件があります。申請できるのは中小企業と小規模事業者で、基準は業種ごとに違います。資本金か従業員数のどちらかが基準以下なら対象で、個人事業も含まれます。自社が当てはまるかは申請対象者チェッカーで確かめられます。

そのうえで、判定の軸は1つです。登録済みのソフトウェアを買うのか、自社用に作るのか。前者は対象になり、後者は対象になりません。

通常枠での扱い

進め方

通常枠での扱い

根拠(公募要領 通常枠 2026年5月15日 最終改訂)

登録済みのAI搭載ソフトウェアを導入する

対象になる

2-2(1)

自社の業務に合わせてAIを一から作ってもらう

対象にならない

2-2(1)、別紙2の注意点

お客さま向けの画面を新しく作る

対象にならない

別紙2の注意点

用途を選ばない自動化ツールや分析ツールだけを入れる

それだけでは申請できない

2-2(3)(ア)

パソコンやタブレットの購入だけを申請する

それだけでは申請できない

2-2(3)(ア) の業務の条件による

補助金を出す決定が出る前に発注、購入する

対象にならない

2-2(4)

補助金の申請や報告を代わりにやってもらう費用

対象にならない

2-2(4)

登録済みのAI搭載ソフトウェアを導入する対象の例と、自社の業務に合わせてAIを一から作る・お客さま向けの画面を新しく作るという対象外の例を並べた対比図

それだけでは申請できない、というのは業務の条件によるものです。通常枠では、申請するソフトウェアが、事務局の定める業務の種類を1つ以上カバーしている必要があります。会計や受発注のように、特定の仕事そのものを扱う機能のことです。

分かれ目は、自社の業務に合わせてAIを一から作ってもらう場合です。AIで業務を効率化するという言い方は、できあいのソフトを入れることも、自社用に作ることも指します。同じ言葉で言えてしまうので、社内では区別されないまま話が進みます。この補助金では、その2つがまったく別の扱いになります。

祖父江 聡士

どちらか判断がつかないこともあります。ここで一度止めて、対象にする仕事を先に決めたほうが結局は早く進みます。

買う話だと決まったなら、次に確かめるのは金額と条件です。作る話なら、以降の条件は当てはまりません。その進め方は後半にあります。

自社のAI導入が「買う話」なのか「作る話」なのか、そもそもの切り分け方に迷う場合は、次の記事で整理しています。

AI導入とは?社員が使っても進まない理由AI導入とは、AIを買うことではなく、どの仕事をどこまで任せ、誰が結果を確認するかを決めることです。社員が個人で使っていても会社として進まない理由、他社が止まっている場所、候補になる業務の見つけ方、始める前に決める3点を公的調査をもとに整理しました。AI導入記事を読む

通常枠の補助額と、残る自己負担

補助率は原則2分の1以内。補助額は5万円から450万円までで、金額の帯によって、対象にする業務の数の条件が変わります。

総額を補助(原則2分の1)と自己負担(原則2分の1)に分け、補助側の内訳としてソフトウェア・オプション・役務(200万円が上限)を重ねて示した金額の内訳図

補助額ごとの条件

補助額

対象にする業務の数

補助率

5万円以上150万円未満

1種類以上

原則2分の1以内

150万円以上450万円以下

4種類以上

原則2分の1以内

450万円は誰にでも出る額ではありません。この帯に届くには、対象にする業務が4種類以上必要です。1つの仕事にAIを入れるだけの計画では届きません。補助率が2分の1なら、同じ額の自己負担が残ります。

導入を支える費用は、どこで頭打ちになるか

AI導入では、ソフトそのものより、導入の設定や社員研修にお金がかかることがあります。この制度では、そうした導入を支える作業を役務と呼び、上限と条件が別に決められています。

費用の区分と上限

区分

含まれるもの

上限、期間の条件

ソフトウェア

ソフトの購入費用

金額の上限なし。月額や年額で払うものは最大2年分

オプション

機能の追加、データの連携、セキュリティ

金額の上限なし。機能の追加は最大1年分

役務(導入を支える作業)

導入の相談、初期設定、マニュアル作成、研修、保守サポート

200万円が上限。対象のソフトとセットのものに限る

もう1つ条件があります。ソフトの費用に比べて、支える作業の費用が高くなりすぎないこと。これが申請の条件に入っています。

AI導入は、ソフトを入れて終わりになりません。仕事に合わせた設定や、社内に定着させる支援に手間がかかります。支える作業の費用を積み上げていくと、200万円の上限か、比率の条件のどちらかで頭打ちになります。自己負担の見当は、ソフトの値段だけでは出ません。

申請に必要な条件と、先に用意するもの

思い立ってすぐ申請できる制度ではありません。先に用意しておくものが2つあります。

申請前に用意しておくもの

  • GビズIDプライムの取得
  • IPAのSECURITY ACTIONで、★一つ星または★★二つ星の宣言

どちらも申請の条件で、手続きには日数がかかります。申請すると決めてから動き出すと、この待ち時間がそのまま遅れになります。

事業計画の側の条件は、補助額が150万円を超えるかどうかで変わります。

補助額ごとの事業計画の条件

補助額

従業員1人あたりが生み出す価値(労働生産性)

賃上げ

その事業所でいちばん低い時給(事業場内最低賃金)

150万円未満

1年後に3%以上、計画期間の年平均でも3%以上引き上げる。過去に交付決定を受けたことがある場合は1年後4%以上

過去に交付決定を受けたことがある場合のみ、1人あたりの給与総額を年平均3.5%以上引き上げ、従業員に伝える

定めなし

150万円以上

同左

1人あたりの給与総額を年平均3%以上引き上げ、従業員に伝える。過去に交付決定を受けたことがある場合は3.5%以上

地域別最低賃金より30円以上高くする

150万円のラインで変わるのは、この表だけではありません。対象にする業務の数も、1種類以上から4種類以上に増えます。補助額を大きくすることは、社内で約束することが増えるのと同じです。

準備・申請・審査・交付決定・導入・報告の順に並べ、交付決定の位置に「ここから発注できる」と添えた手続きの流れ図

順番にも決まりがあります。事務局が補助金を出すと決めることを交付決定といい、この決定より前に買ったものは補助の対象になりません(公募要領 2-2(4))。先に発注して、あとから申請する、という進め方はできません。締切は何回か設けられていて、締切ごとに審査と交付決定があります。ベンダーとの話が進んでいる計画ほど、発注を止めておくことになります。

今回の締切と、間に合うかどうかは、事務局の事業スケジュールで確かめられます。

申請すれば必ず通るのか

申請すれば必ず通るわけではありません。申請には審査があります。

事務局が直近で公表した通常枠の分では、申請1,879件に対して交付決定は819件でした。交付決定事業者一覧に載っている数字で、ページの更新日は2026年7月23日、確認日は2026年8月25日です。件数は締切のたびに変わります。

この数字は、審査に落ちた割合そのものではありません。途中で申請をやめた分や、書類の不備で受け付けられなかった分も含まれます。押さえておきたいのは割合の正確さではありません。補助金がもらえる前提で計画を組むと、外れたときに計画ごと止まります。

対象にならなかった場合の進め方

取れる道は2つあります。

別の制度を調べる。自社専用の仕組みを作る投資を扱う補助金は、この制度とは別にあります。探すときの手がかりは、補助の対象が「できあいの製品を買うこと」なのか「自社の設備や仕組みへの投資」なのかという点です。この補助金は前者です。後者を扱う制度は、担当する役所も条件も違うので、この補助金の条件をそのまま当てはめて考えることはできません。

補助金を前提にせずに進める。この補助金は、締切ごとの審査を経て、交付決定を待つ仕組みです。条件を満たす準備にも時間がかかります。対象外なら、その時間を待つ理由はありません。

どちらを選ぶかは、AI導入そのものの必要性とは別に決まります。補助金の対象にならないことと、その取り組みをやる価値がないことは、別の話です。

対象外でもAI活用自体を進めるかどうかで迷う場合は、以下の記事で判断の条件を説明しています。

中小企業のAI活用|「様子見」で終わらないための判断条件中小企業のAI導入率は20.4%、生成AIの活用は中小32.4%。母数つきの調査で規模・業種・体制の実態を示し、やるか先送りかを自社の状態で決める2つの問いと、「今はやらない」が判断として成立する条件を解説します。AI導入記事を読む

業種別にどう使われているかは、以下の記事で説明しています。

AI活用事例|業種別の使われ方と、自社の業務に当てはめる方法中小企業でのAIの使われ方を、業種別の集計で示しました。8業種で何に多く使われているかを回答数つきで確認し、そこから自社で最初に試す作業を1つ選ぶまでの基準を説明します。AI導入記事を読む

進めると決めた場合は、動き出す前に決めることを先に押さえます。

動き出す前に決める3つのこと

動き出す前に決める3つのこと

  • 買う話か、作る話か。ここが決まらないと、以降の条件はどれも当てはめられません
  • 補助額が150万円のラインを超えるか。超えるなら対象にする業務が4種類以上になり、賃上げの約束が加わります
  • 交付決定まで発注を止められるか。先に発注すると、その費用は対象外になります

社内だけで決めにくいのは1つ目です。2つ目と3つ目は、社内の事情と制度の条件を突き合わせれば決まります。1つ目だけは、対象にしたい仕事の今の進め方と、できあいのソフトで代われる範囲の両方を見ないと判断できません。

よくある質問

Q

生成AIのツールを入れれば対象になりますか。

A

自動的に対象になることはありません。対象は、IT導入支援事業者が事務局に登録したツールに限られます。入れたいツールが登録されているかはITツール検索で調べられます。

Q

個人事業主でも使えますか。

A

使えます。事務局が示す中小企業の基準表に、個人事業を含むと書かれています。基準は業種ごとに違いますが、資本金と従業員数のどちらか一方が基準以下であれば対象です。

Q

パソコンやタブレットの購入は対象になりますか。

A

ハードウェアだけでは申請できません。通常枠では、申請するソフトウェアが業務の種類を1つ以上カバーしている必要があるためです。登録済みのソフトとセットで申請する形になります。

まとめ|最初に決めるのは補助額ではなく、買う話か作る話か

賄えるのは、事務局に登録済みのソフトウェアを買う費用です。自社専用に一から作るAIは、この枠組みに乗りません。名前にAIが入って変わったのは、AI機能を持つツールが見つけやすくなったことであって、対象の範囲ではありません。

だから、最初に決めるのは補助額ではありません。自社の計画が、買う話なのか作る話なのか。ここが決まれば、補助率も上限も条件も自社に当てはめられます。決まらないまま金額から入ると、条件を読んでも自社の話になりません。買う話だと決まったあとも、金額はソフトの値段だけでは決まりません。導入を支える作業をどこまで含めるかで、上限と条件の当たり方が変わります。


自社の計画が、買う話か作る話か決めきれない場合、対象にしたい仕事は挙がっているのに、それができあいのソフトで足りるのか、自社用に作る必要があるのかが分からない。この一点だけが残っている場合は、そこから相談できます。

切り分けるには、対象にしたい仕事の今の進め方と、できあいのソフトで代われる範囲の両方を突き合わせる必要があります。片方だけでは決まりません。社内の情報だけで判断がつきにくいのは、そのためです。

CREARIは年間40社以上のAI導入を支援していて、そのうち半数以上が、対象にする仕事の洗い出しから入る案件です。初回のご相談では、対象にしたい仕事の洗い出しと、できあいのソフトで足りる範囲と足りない範囲の線引きを整理します。ご相談とお見積りは無料で、最短1営業日でご返信します。

お問い合わせのときに、対象にしたい仕事、今の進め方、扱う情報、社内で決まっていない点を書き出しておいていただけると、初回から具体的な話ができます。

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